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巨人の名将2人のトレード哲学 飼い殺しの川上、気配りの原

原監督流の「トレード」活用方法とは(時事通信フォト)

 監督14年目にして川上哲治氏の持つ通算勝利数1066勝を抜き、巨人歴代1位となった原辰徳監督。不滅の「V9」を成し遂げ、“ドン”とまで畏れられた川上監督と原監督は似ているのか。川上、原両監督とも積極的なトレードで戦力を補強する点は共通するが、トレードの「哲学」は異なるようだ。

 V9前半の巨人投手陣を「エースのジョー」として支え、通算141勝を挙げた城之内邦雄氏(80)が言う。

「川上さんはONの後を打つ5番に広島から森永勝也さん、西鉄から高倉照幸さん、大洋から桑田武さんなどベテラン主砲を次々と獲得し、1~2年で使えなくなると、他球団の戦力になることを防ぐため飼い殺しにしていました。僕自身、勝てなくなると若手と競争をさせられ、それが実らず他球団への移籍を希望しました。しかしトレードのできる戦力外通告ではなく任意引退選手となり31歳で半ば強制的に引退させられた。

 一方の原監督は、高梨(雄平)やウィーラーなど他球団で戦力外になっている選手を引き入れ活躍させている。ドラフト1位で獲った沢村(拓一)を『他球団でもうひと花咲かせろ』とロッテに送り出した気配りは、川上監督には全くなかった」

 原監督は定石に縛られないと城之内氏が続ける。

「右投手には左打者、左投手には右打者のセオリーに則りつつ、格上の選手に代えて格下の選手を送ったり、時にはセオリーを無視して大胆な選手起用をして、それが当たる。いろんな選手を起用してうまくいくのは、普段からその選手を観察しているからでしょう」

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