実際、川上政権で堀内恒夫(148勝)、城之内邦雄(141勝)、高橋一三(104勝)と3人いた100勝以上の投手は、原政権では内海哲也(113勝)のみ。
半面、川上政権で白星を挙げた投手は44人だが、原政権では97人にのぼる。
「原監督は高梨、中川晧太、デラロサといったメンツを変幻自在に組み合わせる。先発完投で柱となるピッチャーが踏ん張った川上さんの時代とは大きく異なる」(同前)
V7達成時に投手として新人王を獲得した関本四十四(しとし)氏(71)は、「チームの風通しをよくしたことが原監督の功績」と指摘する。
「V9時代はONという偉大なスーパースターがいて、そのONを使いこなした川上監督の手腕は流石だった。ONがいない原監督は、『一軍と二軍はすべて戦力』との考えを持ち、二軍から上がってきた選手を積極的に起用して若手を発奮させている。若い選手を起用すればチームは活性化するし、監督に不満を持つ選手はいなくなるでしょう。ONのようなスーパースターの不在を逆手に取って、うまくチームをまとめています」
原巨人の強みは大型補強ではなく、個々の選手の能力を引き出す采配との意見は、多くの巨人OBから聞かれた。
※週刊ポスト2020年10月2日号