ライフ

歯周病治療と抜歯後治療、保険か自費かはどう選べばいい?

歯周病治療では賢い選択も必要(写真はイメージ)

 歯周病治療でどのような選択をするか、歯を失ってしまった時にどのような治療を選ぶかは、非常に重要だ。保険か自費かを含め、費用が大きく異なる選択肢が示されることもある。それぞれの選択肢で何が異なるのかを患者自身も知っておいたほうがいい。『週刊ポストGOLD 得する医療費』より、ジャーナリスト・岩澤倫彦氏(『やってはいけない歯科治療』著者)がレポートする。

 * * *
 歯周病は細菌による感染症で、40歳以上の歯を失う原因1位。厚生労働省の調査によると、成人の8割が歯周病だ。

 歯周病は、歯肉だけが炎症している状態の「歯肉炎」と、炎症が広がり、歯を支えている土台の骨(歯槽骨)を失う「歯周炎」に大きく分けられる。

「歯肉炎」の段階なら、歯周基本治療であるSRP(※歯石やプラークを除去するスケーリングと、歯石などが付着していた部分を滑らかにするルートプレーニングの略称)と、患者が正しいセルフケアを実践できれば、完治可能だ。

 それを放置すると、「歯周炎」に進行して、骨を失う。この段階になると、完全に元のようには治せない。最悪の場合、進行して、歯が抜けてしまう。

 歯周病治療の第一人者・スウェーデンデンタルセンターの弘岡秀明院長は警鐘を鳴らす。

「歯周病はサイレントディジーズ(静かなる病)と呼ばれています。歯肉からの出血以外に、痛みなどの自覚症状がないまま、歯周炎に進行してしまうからです。大半の患者は、歯がグラグラ揺れるようになって、初めて歯周病に気付くのです」

 治療内容は保険と自費でほとんど差異はないが、治療期間だけは別だ。

 保険は治療手順や内容が厳しく規定されている。すぐに治療したくても、1回目は基本的にレントゲン撮影などの診査、診断で終わる。そのため、保険は自費に比べてどうしても治療期間が長くなる。

 自費の治療費は保険に比べて高額だが、治療内容に制限がないため、患者の状態に合わせて柔軟に対応してもらうことも可能だ。

 基本的な治療で大半の歯周病は治癒するという。

「歯周病治療の質は、SRPを担当する歯科衛生士の知識と技術に左右されます。専門的なトレーニングを受けたスキルの高い歯科衛生士がいるクリニックを選ぶことが重要です」(弘岡院長)

 大事な歯を失った時、必ず10年先のことを想定して、治療を選択したい。治療費の安さだけで決めると、次々と歯が抜けていく「抜歯ドミノ」が起きる場合もある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
相撲協会と白鵬氏の緊張関係は新たなステージに突入
「伝統を前面に打ち出す相撲協会」と「ガチンコ競技化の白鵬」大相撲ロンドン公演で浮き彫りになった両者の隔たり “格闘技”なのか“儀式”なのか…問われる相撲のあり方
週刊ポスト
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン