エンタメライターの西澤千央氏は、「好感度の高い芸能人の落とし穴というのは『自分の人気を確かめようがないところ』にあるのではないかと思っています」と指摘する。
「テレビにはたくさんキャスティングされる、スポンサーもついている、だけど実際一般視聴者たちはどれくらい自分のことを求めているのか? “好感度”というものの、その実、中身の無さ。これに気づいてしまう人から、転落してしまう気がします。
たとえばベッキー。抜群の勘とセンスでバラエティの女王にまで成り上がったものの、『ベッキー♪♯』名義でスタートしたアーティスト活動の方はいまいちパッとしませんでした。私の人気ってなんなの? 単なるスタッフウケ? スポンサーウケ? そんなときに出会ったのがゲスの極み乙女。だったのでは。CDやライブにお金を払う“ファン”、実体のあるファンに支えられているアーティストに、自分にはないものを感じ惹かれていった面もあるのではないでしょうか。こじるりにも同じことが言えるかもしれません」(西澤氏)
西澤氏はバラエティタレントの理想として、なんと勝俣州和を挙げる。
「バラエティタレントは決して自分を掘ってはいけない。そこには何もないことを確かめてはいけない。そういった点から、やはりだれも追いつけない場所に立っているのは勝俣州和なのでしょう。勝俣州和は勝俣州和を疑わない。勝俣州和は勝俣州和を生きることに迷いがない。以前『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で『勝俣州和のファン0人説』というのを放送していましたが、『ファン0人』とは言ってみれば本物のバラエティタレントたる証し。テレビ業界における空気や水のような存在に徹することが、好感度タレントが好感度タレントのまま生き残る唯一の方法と言えますが、それを望む人はあまりおらず、だからこそ未だ勝俣州和の座が脅かされないままなのです」
好感度と自我の間で芸能人は引き裂かれる──。
●取材・文/原田イチボ(HEW)