愛車を運転する山口達也(2019年8月)

 転落していく者に必要以上のスポットライトを当て、精神論から彼を断罪するようなマスコミの報道や論者の声に対して、違和感を覚えたと訴える人も少なくない。例えば、以下のツイートのように。

〈山口達也の批判すげえけど叩くとこ間違ってる気がする。たしかに飲酒運転は悪いけど報道の仕方が悪意の塊。人の不幸は蜜の味と言わんばかり。汚い大人やで!〉

〈山口達也さんて一般人の方ですよね。何をマスコミは騒いでるの?一般人の酒気帯び運転にマスコミがこれだけよってたかるんだね。他の酒気帯び運転容疑の奴にも同じようによってたかるということで良い?何が言いたいかって、マスコミ業界って、アタマ狂ってる人達が働く場所なのかなと思ってさ〉

〈山口達也を痛烈に叩きまくっている人たちって、ただの一度も過ちを犯したことのない人なんだろうか? 亡き義母から「相手に石を投げるのは、石を投げられた痛みを知らない人」と言われたの忘れられないな。 「痛みを知らない」=「何の過ちを犯したこともない聖人君主」ではないんだけどね〉

 マスコミVSネットという対立図式はいまに始まった話ではないが、いわば過剰報道に対して一言いいたくなった人はネット上にたくさんいた。直接書き込みはしない、サイレントマジョリティーの中にも大勢いたはずだ。

 アルコール依存症という病気に対する見方もそう。病気だからといって、犯した罪は罪。法的な罰は相応に受けるべきだが、それ以上に罰してはいけないし、治療にどうつなげるかという点が大事、と私は思う。同様の思いをつぶやいた人たちも、予想以上に多かった。

〈マジでアルコール依存症だと言われてる山口達也に対して「自己管理がなってない」「こんな人だと思わなかった」とか言ってる人達、依存症について何も知らないんだなぁと思いますね。もはや自己責任の域は超えてるので他人が然るべきとこと繋がないと無理だぞ、あれは〉

〈山口達也さん。もしかなり進んだアルコール依存症だとしたら、気合いや根性では制御できないレベル。断酒会へ欠かさず通い、「今日1日飲まなかった」という日々を死ぬまで重ねていく。正直先が見えない。でもやるしかない。甘えとかそんな問題じゃない〉

〈個人的にはむしろ山口達也さんみたいな人こそ『アルコール依存症からリハビリする芸能人』として人目につく場所で仕事をした方がお酒を遠ざけやすいと思うんですけどね。失業と孤独が依存症への道なのに、彼を袋叩きにして仕事を奪っても孤独の中で回復するとは思えない。『制裁欲』を向けても仕方ない〉

 全体の中の一部であるとはいえ、きちんとアルコール依存症という病気を理解し、その解決のために我々はどういう態度をとるべきなのかを問う、私も賛同できる声がけっこうある。

 また、今回は、ユーチューブの世界でも、頷ける話を配信した人を複数見つけることができた。まずは、逆張りスタンスからの暴論を得意とする炎上系ユーチューバーのシバターが、こんな話をしていたので、書き起こしたハイライト部分を紹介したい。

〈アルコール中毒というのは病気なんだ。もう、周りの声とか努力でどうにかなるもんじゃない。だって、そうだろ。病気の人にいくら説教したって治らないだろ。(中略)カウンセリング受けて、ちゃんと入院して、そして、お酒を辞めるプログラムを受けよう。お前は病気だから、自分は自分の努力でお酒をやめられると思うかもしれないけど、自分の努力ではダメなんだ。それが病気だから。そして、アルコール中毒っていうのは立派な病気なんだよ。だから山口、お前はまず、やったことの罪をちゃんと償って、その後にちゃんとアルコール中毒という病気を治そう。それが全部終わったら、俺がお前にまたなんか別の仕事を探してやるよ。(中略)山口、まずは頑張って病気を治そう〉

 あの暴論シバターがストレートにこのような正論を語るとは驚いた。コメント欄にもそんなシバターを支持する声が多かった。

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