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うつで休職中の著者を変えた“みようみまね”で生きる弟の姿

はじけるような笑顔が印象的な作家・岸田奈美さん

 コンテンツプラットフォーム「note」に投稿したエッセイがたちまち人気を呼び、SNSを中心に「笑えて泣ける」「読むと心が洗われる」と話題になっている作家・岸田奈美(29才)さん。9月23日、そのエッセイをまとめた初の著書『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』が発売されると、たった5日で3刷を突破、大反響を呼んでいる。ここでは、エッセイのテーマの大部分を占める「家族」について、岸田さんに語ってもらった。

 岸田さんは現在、母親と弟の3人家族。父親は、岸田さんが中学2年生の時に急性心筋梗塞で急逝した。3才年下の弟の良太くんはダウン症で知的障害があり、母親のひろ実さんも、数年前に患った大動脈解離の後遺症で車いす生活を送る。家族が何らかの障害を抱え、過去には自身も一時うつ状態になって休職するなど、岸田さんにとって決して楽な人生ではなかった。だが、彼女の綴る言葉には悲愴感が全く感じられない。それどころか、強くて明るく、自由な心のしなやかさを感じる。

「私が今日まで、家族を思い、明るく生きてこられたのは他でもない家族のおかげです。特に、障害がある家族のきょうだいって、メチャメチャ仲がいいかその反対か、極端になりがちなんですが、私の場合は前者でした。その違いは何かと言うと、親から『あなたは障害が無いんだから、障害のあるきょうだいの面倒を見なさい』とか、『障害のあるきょうだいのために我慢しなさい』ということを言われたかどうかだと思うんです。うちは、父も母もそういうことを一切言いませんでした。

 良太が生まれた頃は、母は良太につきっきりでしたが、それでも小さい頃から一貫して『奈美ちゃんが一番好き、あなたが大切』っていつも言葉にしてくれた。良太を構っていても、私が泣いていたらすぐに駆け付けてくれて。でも、多分良太の前では『良太が一番大事』って言ってたと思います。母は、障害の有無に関係なく、どちらにも惜しみなく愛情を与えてくれました。だから今日まで、『障害があるから弟を守らなきゃいけない』とか、『私は割を食っている』と思うことなく過ごせてきたんだと思います」

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