わかってくれる人に“話す”ことが癒しに
介護者支援を行うアラジンには、電話相談や介護者の交流サロンなど、つらい気持ちを話せる場がいろいろある。
「支援でいちばん重要なのが寄り添って聴くことなのです。介護は、親の衰えを目の当たりにしたり、自分の人生時間を大幅に割かれたり、どんな人生経験や仕事のキャリアも役に立たない苦悩があります。穏やかな性格だと思っていた自分が、老親に声を荒らげたことに傷つく人もいます。
それはかかわっていない人にはなかなかわからない心境で、とても孤独です。だからこそ、ぜひ悩みや気持ちを話してください。同じ立場の人の工夫や情報は大きな助けになり、“わかってもらえた”と実感すると先へ進む力がわいてきます」
悩みをゆっくり話すうちに、自分の中で整理され悩みの解決策が見えてくることも多い。理解されて癒されると、つらい状況は変わらなくてももちこたえられる力になるのだ。
インターネットから“介護者支援”というキーワードで各地域の支援団体やケアラーズカフェ、認知症カフェ、介護者の会などが探せるほか、アラジンのホームページには首都圏、全国の介護者の会の情報も掲載中だ。
「介護は先が見えない長期戦ですから、自分が癒される場所をぜひ探してください。うまく話せなかったり、すれ違ってしまったりすることもありますが、ひとつの場でダメでもあきらめないで。自分の悲しみや孤独を冷静に見つめ、癒すための一歩を踏み出してください」
【プロフィール】
森川恵子さん/認知症の実母を在宅介護した経験から介護者支援を志し、同法人に参加。介護者のための電話相談「心のオアシス電話」、実母を介護する娘さんの交流の場「娘サロン」、介護者がほっとひと息つける場「ケアラーズカフェ」の運営を担当。