森林火災はアメリカ社会にまで延焼している(AFP=時事)

 ミシガン州の事件も捜査と裁判を待たなければ真相はわからないが、大統領選挙で右派と左派が激しく罵り合うなかで、「左派の放火テロ」と「右派の暗殺テロ」が互いに非難の的になっている(森林火災に関しては今のところデマと言うべきだが)状況は、アメリカ社会がいかに分断され、社会の病巣が深いかを物語っている。

 現代のアメリカの分断は、イデオロギーの対立というより、貧富の格差が生んだものだ。筆者は、クリントン夫妻やブッシュ元大統領(子)、トランプ氏と同世代で、同じ時期にビジネススクールやロースクールで学んだ。その後、1980年代は金融とベンチャーの時代で、ウォール・ストリートの天才たちが、次から次へと新しい金融商品を作って黄金時代を築いた。ベンチャーは雨後の筍のように乱立し、そのなかからビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズのような成功者が生まれた。筆者もいくつもの起業に関わり、金融の知識や経験を積んで必死に働いた。それは華やかで楽しい時代であったが、国中が狼の群れのようにカネを追いかけ、ついていけない者たちは脱落して、最後には埋められない大きな格差を残した。

 4年前、すでにその病巣ははっきりしていたが、国民は格差是正を訴えたヒラリー・クリントン氏ではなく、金持ちや大企業を優遇するトランプ氏を大統領に選んだ。そしていま、右派と左派が互いを「無政府主義者の集団だ」と非難し合っているのである。アメリカ国民は、今こそ自分自身と国家のあるべき姿を問うべきではないだろうか。

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン