さらに、3ギガバイトを超えた場合は「1ギガバイト=250円」で販売しています。大手携帯会社の場合は、「1ギガバイト=1000円」が一般的なので、通信費は大手の4分の1という料金設定となっているのです。そして、この流れを受けて旅行代理店のHISの子会社HISモバイルが8月28日から同じ金額のサービスを開始するなど、競争が激化しているのです。
さらに、このような競争の流れは「格安スマホ」だけにとどまらず「サブブランド」でも起こっていて、200万超の契約を誇る「UQモバイル」は6月に月2980円で、データ通信量が10ギガバイトの新プランを投入しました。
それまでの設定では、データ通信量を使い切ってしまうと、通信速度が大幅に落ちていましたが、この新プランでは、従来の3倍以上を維持する設定にしています。その結果、6月の純増数は前年同月比2.4倍も増え、新規契約の約半数が新プランという成果を出したのです。そして、ライバルの「Y!モバイル」は10月14日から順次、容量超過後の通信速度を引き上げるプランにし、「UQモバイル」に揃えています。
このように、過酷な「携帯戦争」というべき状況が生まれているのですが、そもそも大手携帯会社から回線を借りる格安スマホは、「利幅が少ないビジネスモデル」でもあるのです。そのため「価格競争」に限界があるのも事実で、ツタヤなどを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は「格安スマホ」から撤退していたり、昨年「DMMモバイル」は「楽天モバイル」に売却されたりしています。
さて、まさにこの「楽天モバイル」という存在が今後、どこまで成功するのかによって、今後の日本の携帯電話市場が大きく変わりそうなのです。
大手3社に勝負の「楽天モバイル」は使えるの?
まず「楽天モバイル」の現在の位置付けは「格安スマホ」から始まっているので、auから通信回線を借りている状況です。ただ、最終的には大手携帯会社になるのが目標なので、auから通信回線を借りながらも、自前の通信回線を一生懸命に作っている最中なのです。しかも、これまでの通信回線は、屋外基地局アンテナ設置には、多くの設備が必要でした。
ところが「楽天モバイル」の場合は、無線アクセス機能を使ったシンプルな基地局で済むようにしたことが大きな特徴としてあります。そのため、通信回線の建設や運用コストを大幅に減らせているので、料金を安くできている面があるのです。
ここで押さえておきたいのは、「4G」と「5G」という通信規格の違いです。まず、そもそも現在のベースは「3G」(第3世代)で、人口カバー率はほぼ100%となっています。そして、スマホで動画などを見るようになって「4G」(第4世代)という通信規格により、つながるスピードが急激に速くなってきました。
そこで「楽天モバイル」は、先を見据えて「4G」からスタートをしています。そのため、基本的にauの「4G」の通信回線を借りているので、「楽天モバイル」が対応可能な地域は、現時点では限定的になっています。
このように、まだまだ使えない地域が多くありますが、「楽天モバイル」は、2021年3月末までに人口カバー率を70%に、そして夏には人口カバー率を96%にまで拡大する方針を示しています。