村木:確かに。当事者はむしろ、周りの目が気になって自認する性別の方のトイレに入れなかったり、トイレを我慢してしまう人も多いんです。トランス女性は女性なので、女子トイレや女性用更衣室を使いたいって言ったら「どうぞどうぞ」だし、LGBTイベントでもトイレが全部共同トイレでも何ら問題は起きていないので、慣れだと思うんですけどね。経産省の職員の地裁判決で、トランス女性に関して、女性用トイレの使用を制限することは「自認する性別に即した社会生活を送るという重要な法的利益の制約にあたる」と指摘されたのは画期的でした。
治部:そうですよね。おそらくトランスジェンダーの権利の問題と性犯罪の問題とがセットになって進む必要があるんじゃないかな、と思います。啓発とか教育が大事ですね。
村木:治部さんのご著書(『「男女格差後進国」は衝撃』)でいちばんびっくりしたのは、子どもたちがLGBTのことを知ってるんだ?っていうところです。私たちの時代とは隔世の感があります。
治部:今のジェンダーのセミナーに来る学生さんはLGBTのことにとても関心があって、逆に性差別の話をしてもピンとこない。日本は「ジェンダー・ギャップ指数」が世界121位で、先進国では最下位と言うと驚く子が多いです。地方とかでも、結構いろんな先生たちが、授業にLGBTを取り入れていますよ。
村木:ありがたいです。でも本当は学習指導要領にきちんと入れてほしいと思います。意欲のある先生に当たったらLGBTのことを学べるけど、そうじゃないと、知らないまま。
治部:そうなんですよね。
村木:それと、男女共同参画センターは全県にあるけど、LGBTセンターはない。男女共同参画センターの一室でもいいから使わせてもらえたらいいのにな、と思います。
治部:センターによっては、すごく熱心にやってるところもあるんですけどね。