芸能

人気上昇中の中国ドラマ 当局の検閲に明確な基準なし

ツンデレ社長と天然女子のラブストーリー『GO! GO! シンデレラは片思い』(c)2019 Shanghai GCOO Entertainment Co.,Ltd.All Rights Reserved

『愛の不時着』や『梨泰院クラス』をはじめとする韓国ドラマが爆発的なブームとなっている昨今。その裏で、ジワジワと人気を拡大させているのが中国ドラマだ。

 4000年という壮大な歴史にドラマの素材は事欠かず、バブル期が続く中国経済の潤沢な制作資金も相まってクオリティーの高い作品があふれている。中国ドラマを中心としたアジアドラマに精通しているライターの小酒真由子さんはこう言う。

「資金面の話でいうと、ドラマ制作もほぼすべてが映画規模で、企業の投資で作られるので制作費の桁が違います。ハリウッドと同じレベルかむしろそれ以上! 現代劇ではドラマの中でヒロインがわざとらしく化粧品を使ったり、ジュースを飲んだり、あからさまなタイアップみたいなものもたくさんあって、企業の宣伝効果が高いことも投資理由の1つです」

 とはいえ中国には検閲の制度があり、作品本来のおもしろみが軽減してしまうのではないかという懸念があるが、小酒さんは「それを上回る制作側の努力があるので、意外とそれ込みで楽しめる」と笑い飛ばす。

「以前、現代を生きるヒロインが古代の宮廷にタイムスリップするという設定のドラマが大ヒットしたときに、当局が『歴史を歪曲するため、今後はタイムスリップもの禁止』というお触れを出したのです。禁止と言われて、ドラマ業界がどうしたかというと『これはタイムスリップではなく、魂がちょっと入り込んでしまっただけ』と説明。そうこうするうちに類似ドラマがたくさん作られるようになっていました。

 日本人が思うほど、検閲に明確な基準がないんです。出してみたら通るかもしれないし、だめかもしれない。そこは、制作側も慣れているのでいろんな回避方法を考えるんです」

 検閲は基本的に脚本段階と完成後にそれぞれ行われ、そのすべてをクリアしないと放送や配信はできない。

「とにかく作られる本数が多いので、常に検閲待ちで渋滞している感じです。今年は新型コロナウイルスの影響で、中国でも一時期撮影を休んでいましたが、検閲待ち、放送待ちの作品が多いので、放送や配信にはほとんど影響がありませんでした」

50話超えは当たり前! 最近は30~40話モノも

 検閲問題のほかに、中国ドラマ未経験者が身構えてしまうのが話数の多さだ。中国ドラマも放送しているデジタル放送局『BS12 トゥエルビ』編成部の新井南菜子さんは「時代劇、現代劇を問わず、50話超えも珍しくなかったものが、最近は30~40話の作品も増えている」と言う。

「最近中国ではドラマの話数は40話まで、という新ルールが設けられたのですが、30話を超えるような超大作を見る場合、“飛ばし見”をする中国人も多いんです。ムック本も増えているので、登場人物の相関図などを見ながらドラマを見れば、わかりやすいですよ」(小酒さん)

人気の中国ドラマ2作品

DVD-SET1〜3/各1万6500円/発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント/全41話

◇『GO! GO! シンデレラは片思い』

DVD-SET1〜3/各1万6500円/発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント/全41話

「硬派でやんちゃ系イケメンのリー・シエンが主演を務め"国民の彼氏"に急上昇。恋愛に奥手な女子大生のトン・ニエン(ヤン・ズー)の恋が実るまでのドキドキストーリー。壁ドンや頭ポンポン、車の窓越しのキスなど少女マンガのような胸キュンシーンが満載です」(小酒さん)

月~金18時から『BS12 トゥエルビ』にて放送中(野球中継により休止あり)。全55話(C)Khorgos Yijin Co.Ltd

◇『招揺(ショウヨウ)』

「『瓔珞』でブレークしたシュー・カイが、本作でも圧倒的な美貌と存在感で宿命を背負った魔王の息子を熱演。映像美にアクション、ロマンス、復讐などを詰め込んだ、ファンタジーラブ史劇です」(森さん)。時代劇だが、イケメンが復活していく姿は『梨泰院クラス』でパク・ソジュンが演じたセロイに通じるかも。

取材・文/田名部知子

※女性セブン2020年10月29日

関連キーワード

関連記事

トピックス

嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
SNSで「卒業」と離婚報告した、「第13回ベストマザー賞2021」政治部門を受賞した国際政治学者の三浦瑠麗さん(時事通信フォト)
三浦瑠麗氏、離婚発表なのに「卒業」「友人に」を強調し「三浦姓」を選択したとわざわざ知らせた狙い
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン