感染拡大はコントロールできているか

 そもそも、現在の日本で潜在的な感染者がどれほど広がっているか、実はよくわかっていない。そこで、「日本は検査数が少ないため、感染確認には至っていない未受検の感染者が、市中にたくさん潜在しているはずだ」とみる人もいるだろう。

羽田空港国内線の出発ロビー(時事通信フォト)

羽田空港国内線の出発ロビー(時事通信フォト)

 それでは、感染者数が最も多い東京で、濃厚接触者など、感染疑いのある人を中心に行ったPCR検査の結果はどうか? 検査した人のうち陽性判定を受けた人の割合、すなわち陽性率は、検査数が限られていた4月には30%を超えたこともあったが、検査数が増えたここ数か月間は10%未満で推移している。

 このことを踏まえると、すでに国民のなかに潜在的な感染者が多数存在しているといったことは考えにくいだろう。新型コロナの免疫をもっている人は限られているはずだ。

 現状で日本では爆発的な感染拡大はみられていない。死亡者や重症者の数は一定水準に抑えられており、感染拡大をある程度コントロールできているとする見方が一般的だ。

 この状況で集団免疫論に従い、60%以上の人が免疫をもつことを目指して、感染拡大防止措置を取りやめるというのはどうみても無謀だ。やはり、ワクチンの開発・導入を待って、予防接種による集団免疫の確立を目指すことが防止策として適切な方向といえるだろう。

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