こうしたファッションとの兼ね合いは、こなれていないと至難の業。すぐに確立できるものではない。「グレイヘア」にしたら、足の先まで全体をトータルに整える努力が求められるとも言える。ありのままの自然体で美しく見せるとは、かくも大変なことなのだ。
「装うことが大好きで投資を惜しまない人なら、グレイヘアは大人っぽく、個性的な雰囲気で素敵です。でも、ヘアもメイクも服も気を遣っていないと清潔感がなくなり、ほっこりおばあちゃんに見えかねません。ご近所服でカジュアルなライフスタイルがメインなら、グレイヘアにしたときのファッションをシミュレーションして、毎日のくらしにそれがフィットするか、少し考えてみましょう」
白髪を染めるよりラクそうというだけで安易に「グレイヘア」に手を出すと、こんなはずでは……ということにもなりかねない。自分のライフスタイルに合っているか、そして持続可能かどうか、じっくり検討した方がよさそうだ。
【プロフィール】伊熊奈美(いくま・なみ)/美容ジャーナリスト。日本毛髪科学協会毛髪診断士・認定講師、国際毛髪皮膚科学研究所毛髪技能士。1972年静岡県浜松市生まれ。地元タウン誌の編集記者、女性誌編集部の美容担当などを経て、フリーランスに。近著に『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』がある。