ああ

連投が多い浜辺美波

視聴者が前作のイメージを引きずる

 前述したなかで、大きくイメージの異なる役柄で連続出演しているのは、鈴木保奈美さんと柄本明さん。

 鈴木さんは『SUITS/スーツ2』のクールかつスタイリッシュな弁護士事務所所長・幸村チカから、『35歳の少女』の娘が事故で25年間眠り続けたショックで笑顔を失った白髪の老女・時岡多恵に。柄本さんは『半沢直樹』の与党幹事長で悪事三昧の政治家・箕部啓治から、『監察医 朝顔』のヒロイン・万木朝顔(上野樹里)を優しく迎える祖父・嶋田浩之に、と演じる役柄がガラッと変わりました。

 このように「個性的な役から、別の個性的な役に変わる」という連続出演は、「やりがいがある」「似た役よりもやりやすい」という声をよく聴きますし、俳優業の醍醐味とも言えます。

 ただ、あまりに真逆の役柄であるケースでは、前作の反動で視聴者に「演技が大げさ」と思われやすいのが難点。俳優自身は役柄を切り換えられていても、視聴者が前作のイメージを引きずっていて、反動を感じてしまいやすいのです。ではどう見ればいいのか? 視聴者は、俳優個人ではなく、物語、テーマ、人間関係に注目することで、徐々に前作のイメージを消すことができるでしょう。

 逆に、「最も難しい」と言われているのが、「似た設定の役柄を連続で演じる」というケース。実際に玉木宏さんは『竜の道 二つの顔の復讐者』の裏社会で暗躍し「巨大ヤクザ組織」ともつながりを持つ矢端竜一に続いて、『極主夫道』の「不死身の龍」と言われた元極道・龍を連続で演じています。

 2つの役柄は背景こそ異なるものの、「裏社会の男」「コワモテの佇まい」「“竜一”“龍”という名前」などは一致。演技力の有無にかかわらず、視聴者はどうしても2つの役柄を重ねてしまうため、似た設定の連続出演は断る俳優も多いそうです。だからこそ『極主夫道』は、表情、仕草、セリフ回しなどの細部に渡って違いを見せる玉木さんの演技を楽しむ作品となっています。

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