ライフ

父が急死 葬儀準備に戸惑う家族を救った「古い年賀状の束」

年賀状の何気ないひとことで、交友関係に気付くことも

年賀状の何気ないひとことで、故人の交友関係に気付くことも(写真はイメージ)

 認知症の母(85才)を支える立場の『女性セブン』N記者(56才)が、介護の日々の裏側を綴る。今回は、「年賀状」にまつわるエピソードだ。

 * * *
 いまから8年前に父が急死。その葬儀の準備は大変だった。それまで気に留めたことすらなかった父の交友関係を探り出さねばならなかったからだ。手掛かりもなく途方に暮れる中、窮地を救ってくれたのは、短い挨拶が書かれた年賀状だった。

年賀状に導かれて知られざる父の世界へ

「葬儀プランはご参列の人数にもよるんですよ。だいたい何名様くらいでしょう?」

 8年前に父が心筋梗塞で急死。その翌日には、葬儀会社の事務所であれこれ決断を迫られていた。まさに泣く間もないのが葬儀の準備である。参列者というのも問われて初めて考えた。親戚と私の仕事関係と、私の自宅近くの葬儀社を選んだので地元のママ友たちも来てくれるだろう。

「あれ、パパの友達は……?」

 私の心当たりばかり数えていたが、父本人の関係者を呼ばないわけにはいかないではないか。しかし同時に、父の葬儀に呼ぶべき人を誰ひとり知らないことにも気づいた。臨終から呆然自失状態の母はまったく役に立たない。私は大慌てで実家に走った。

 とはいえ、実家のどこをどう探したらよいのか。父のアドレス帳に並んだ名前を見ても手掛かりさえつかめない。母の認知症の兆しで散らかり放題になった家を見渡して、絶望的な気分になった。

 ふと、古い年賀状の束が目に入った。12月の初め、几帳面な父が年賀状の準備をしていたのだろう。定年退職から17年もたつせいか、夫婦連名宛てと母宛てのものが目立つ。その中に父に宛てた手書きコメント入りのものがあった。

「お元気ですか? お互いに年を取りましたね……」

 素っ気ない年賀状も多い中、そのひとことで、父と親しげに語らうシーンが浮かんた。“この人だ!” と直感が走り、見れば電話番号も書いてある。ものすごい勢いで未知の父の世界に到達した気がして、思わず大きく1回、深呼吸をしてから電話をかけた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン