大型ミニバン「車中泊」の真価
室内は1~2名乗車にはもちろん広すぎるくらい広いことは言うまでもない。いわば空気を運ぶような無駄感があったが、思わぬメリットを享受できたのは車中泊である。途中、1泊はクルマで寝てみようと思って寝袋を持参していたのだが、2列目シートを倒してフルフラットにしたときの寝心地は極めて良好だった。
フルフラット自体は大型ミニバンの専売特許ではなく、軽セダンでも可能なものがあるくらい日本モデルでは一般的になっているが、寝心地となると話は別。高価なモデルになるとシートバックの柔軟性が高く、フルフラットにしたときに多少凸凹があっても横になって体重がかかるとその凸凹がならされ、身体に柔らかくフィットする。このあたりは車両価格がクオリティに素直に表れる部分と言えよう。
もっとも、この手のミニバンは車内で寝ることが主目的ではない。多人数乗車をシミュレートするためドライブ中、シートアレンジをいろいろ試してみた。2列目、3列目シートのスライド位置を工夫すれば、6名乗車+小旅行の手荷物くらいは余裕で収容可能であるように思われた。
3列目シートを跳ね上げたときの収容力は車幅に余裕がある分、5ナンバーミニバンに対して圧倒的にアドバンテージがあった。ただし、3列目後方の床下収納がなく、3列をフルに使ったときの収容力ではパッケージングに凝った今どきの5ナンバーミニバンにやや劣るように感じられた。
三菱自動車の“命脈”を決める重要な3年間
最後に運転支援システムだが、ここはデリカD:5のウィークポイントだろう。レーダー式の前車追従クルーズコントロールが装備されたのは旧型に比べて長足の進歩と言えるが、ステアリング介入型のレーンキープアシストは未装備。軽自動車でもステアリング介入があるクルマが登場していることを考えると、ルノー=日産アライアンスに協力を仰ぐなどして、さらにアップデートさせてほしいところだ。
ヘッドランプもかなり凝ったデザインを持っているわりには先行車や対向車を避けて照射するアクティブハイビームがなく、シンプルなハイ/ロービーム自動切換え式にとどまる。ヘッドランプの光量や照射範囲は十分に良いので、ここもアップデートを図っていただきたいところだ。