菅義偉首相と竹中平蔵氏(写真は2006年、時事通信フォト)

菅義偉氏と竹中平蔵氏(写真は2006年、時事通信フォト)

 また竹中が社外取締役となったオリックスは2015年、空港民営化事業に進出。国や地方自治体が施設を所有したまま、利用料金を徴収する「コンセッション方式」なる新たな民営化事業で、その第一号空港が関空(関西国際空港)と伊丹(大阪国際空港)だ。

 空港のコンセッション事業を授けた経営コンサルタントの福田隆之は、竹中の知恵袋であり、2018年まで菅官房長官補佐官を務めた。空港を手掛けたあと、コンセッション方式による水道の民営化を進めようとしたが、仏業者との蜜月関係を指摘する怪文書騒動に発展し、官房長官補佐官を追われるように辞任する(*)。

【*改正水道法の審議中、福田氏が視察先のフランスで水メジャーから接待を受けていたのではないかという怪文書が出回り、野党が追及しようとする中で官房長官補佐官を辞任した】

 福田はその後、竹中がセンター長を務める東洋大のグローバル・イノベーション研究センターに客員研究員として招かれ、今も竹中のブレーンとして奔走していると聞く。

 産業競争力会議は安倍前政権の途中、未来投資会議と名称を改めるが、実態は変わらない。菅自身は自らの政権をスタートすると、その未来投資会議を「成長戦略会議」と改め、ここに竹中をはじめとした経済ブレーンを据えた。インバウンド政策を提唱したデービッド・アトキンソン(小西美術工藝社社長)も成長戦略会議に加わっている。

 菅政権ではここにブレーンたちが集結し、規制緩和という名の利益誘導政策を授けている。

【プロフィール】
森功(もり・いさお)/1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て2003年よりフリーに。2016年に『総理の影 菅義偉の正体』を上梓。他の著書に『官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪』『ならずもの 井上雅博伝 ヤフーを作った男』など。

※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号

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