「宝の持ち腐れ」不動産の有効活用はどうなった?
日本郵便には「宝の持ち腐れ」といわれる事業もある。
旧東京中央郵便局(東京都千代田区)の跡地は、日本郵便(日本郵政)、東日本旅客鉄道(JR東日本)、三菱地所の共同プロジェクトとして「JPタワー」(地上38階、地下4階)に生まれ変わった。同タワー内の商業施設の名前は「KITTE(キッテ、切手)である。
「JPタワーは日本郵政グループの不動産事業の第1号。不動産事業をグループを支える大きな柱として発展させていく。新事業として、全国の駅前の一等地にある中央郵便局を、長期的に活用していきたい」
当時の日本郵便の社長だった鍋倉眞一氏はこう述べた。不動産のプロに言わせれば「宝の持ち腐れ。有効活用にはほど遠い」ということのようだ。
また、東京、札幌の駅前ビルや大宮に続き、2015年11月には名古屋駅前の再開発ビルが竣工。2016年春の博多(福岡)駅前と再開発が行われた。「2017年度までに不動産開発に700億円を投じる」(関係者)とされたが、華々しい成果が挙がったのだろうか──。
大手不動産会社の試算では、郵政グループが保有する土地は総額1兆5000億円以上。上場企業の土地持ちランキングでもベスト10に確実に入る。日本郵便は決算で不動産事業の営業収益がいくらかは公表していないが、全体の収益に占める割合は1ケタ(10%以下)と推計されている。