「置き配」普及に立ちはだかる大きな壁
政府は2020年度に宅配大手3社(ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便)の再配達率を13%に下げる目標を掲げ、置き配や宅配ボックスの整備を呼びかけている。だが、2019年4月の再配達率は16%と1年前から、逆に1ポイント上昇した。都市部では18%と2ポイント近く増えた。
置き配については消費者の不安心理も根強い。盗難に加え、配送伝票の個人情報が見られることへの抵抗が大きいためだ。自社の物流網を持つネット通販大手は、「不安さえ払拭できれば、置き配が急速に広がる」と判断したが、対応は各社で分かれている。
楽天は2018年6月から消費者が置き配を選べるサービスを始めた。アマゾンも2019年2月から同様の仕組みを導入。両社は盗難や破損があれば、全額を補償し不安払拭を図る。一方、宅配最大手のヤマト運輸は置き配は導入せず、駅やスーパーに宅配便ロッカーを設置。コンビニなどに客が取りに行く、自宅外受け取りを推奨している。
そして、宅配3位の日本郵便は2019年3月に置き配サービスを開始。6月末には施錠できる置き配専用のバック「OKIPPA」10万個を無料配布した。
だが、宅配大手では「盗難時に誰が補償するのか」という課題が残ったままだ。日本郵便はネット通販企業など荷主による補償を求めているのに対し、荷主側は「日本郵便に責任がある」と主張。3月のサービス開始以来、置き配で事故があった場合、損失を補填するという“荷主責務”を認める企業は1社も出てこず、結局、仕切り直しとなった。