健康診断の検査も、内臓脂肪の目安になる。注目したい項目は、血圧とLDLコレステロール、HDLコレステロール、そして、一番大事なのは中性脂肪だ。
糖尿病チェックに欠かせないヘモグロビンA1cや、内臓脂肪と一緒に起きてくる脂肪肝をチェックするγ-GTPには注意したい。
血液中のたんぱく質を調べるアルブミンにも注目してほしい。アルブミンが減っていると栄養障害などが疑われ、中高年には多い。大切なのは、たんぱく質をしっかりとることだ。
内臓脂肪を減らすのに肉や卵はいけないと思っている人がいるが、これは大きな誤りだ。日本人の中高年の多くは、たんぱく質が足りない。50歳以上の男性では一日60グラムが推奨されている。
ところが、たんぱく質は意外にとるのが難しい。200グラムのステーキを食べても40グラムのたんぱく質しかとれない。豆腐半丁では10グラム、卵1個では7グラム。毎日ステーキというわけにはいかないから、魚や牛乳、チーズ、ヨーグルト、卵、納豆などいろんな食品からこまめにとらないと60グラムとれない。
油もすべてダメというわけではない。むしろ、オメガ3の油はしっかりとりたい。魚に含まれるEPAやDHA、エゴマ油は中性脂肪を減らしてくれる。オレイン酸(オメガ9)を含んでいるオリーブオイルもいい。ピザやパスタは糖質が気になる点を、オリーブオイルが打ち消してくれそうだ。
ぼくは、朝必ずジューサーで野菜ジュースを作っているが、その中にエゴマ油を小さじ1杯入れて飲んでいる。レトルトのスープカレーには、レンジでチンした野菜を加えて食べている。カレーのスパイスは代謝効率を高めるので、内臓脂肪もためこまない。
おかげで、5年前に9キロ減らした体重をずっとキープできている。これからますますおいしいものが増える季節になるが、食べ方に注意しながら食を楽しみたい。
【プロフィール】
鎌田實(かまた・みのる)/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。著書に、『人間の値打ち』『忖度バカ』など多数。
※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号