自身の「強み」と「弱点」について
──先ほど話題に出たホンダのスカラシップテストを2016年に受け、2018年にはFIA F4日本シリーズでチャンピオンを獲得。2019年にF3参戦、そして今年2020年はF2と、順調に歩みを進めてこられたように見受けられます。ご自身のレーサーとしての「才能」をどう感じていらっしゃいますか?
角田:才能があると思ったことはないんです。ある程度結果は出ていても、自分が参戦しているカテゴリーの中で、僕はいつも年下のほうで、一緒に走るドライバーのほとんどが先輩だったんですね。先輩のほうが速いので、見よう見まねで真似して走っていた感じです。僕もああいうふうになりたいと思って、後を追ってきました。
──目指すべきドライバーが近くにいたんですね。
角田:先輩もいたしライバルもいました。父も含めて、環境にはほんとうに恵まれていたと思います。僕は先輩や友達に会いたくてサーキットに行っていたところがあるんです。走りに行きたいというよりは、会って遊びたい(笑)。怒られるので父には隠していましたが。
──とはいえ結果を残してきた角田選手。ご自身のドライビングの「強み」はなんだと分析されますか?
角田:ブレーキです。カートの頃からブレーキを重要視して練習してきて、その甲斐あって、ブレーキの使い方がうまくなったと思います。たとえばバーレーンの1コーナーでも、僕は思いきり車を突っ込めるんです。一般に、突っ込むとタイヤがロックしがちで、ロックするとタイヤが一気にダメになるんですけど、僕はブレーキでロックを抑えられる自信があるから突っ込める。ブレーキがうまいと、他のドライバーより少ない舵角でコーナーを回ることもできるので、タイヤへの負担も少なく、タイムにつながっていきます。
──タイヤにやさしいドライビングと言われています。
角田:それを、今季、ムジェロのレースで確認することができました。ムジェロは結果的にポイントの取れない、悔しいレースだったんですが、収穫はいちばんありました。これまでタイヤを使いきらないで終わってしまうなと感じていたんですが、あまりプッシュすると終盤までにタイヤを使いきってしまう不安もあって、試す勇気がなかったんです。ムジェロは11番手からのスタートで、攻めるしかなかったので、最初から思い切り攻めて、それでもタイヤを減らさずに最後まで走りきれたので、このくらい攻めていいんだという手ごたえを得ることができました。