小川真由美は自ら濡れ場を入れるよう提案した(時事通信フォト)
2時間ドラマ史上、最高の露出度と過激さで知られる叶和貴子の『天国と地獄の美女』(1982年・土曜ワイド劇場)では、当時のプロデューサーいわく、本人も最初は嫌がっていたそうですが、覚悟を決めて演じた大胆なシーンは大評判となり、以降、さまざな作品で脱いで演技派として認められていきました。2時間ドラマは、女優が一皮むけるための登竜門、度胸試しのような側面もあったのです。
これも当時のプロデューサーから聞いた話ですが、“あの女優が脱いだなら私も”とライバル心に火がつく女優も多く、大物の初脱ぎが連鎖反応を起こすこともあったそうです。番組の側が脱がせ上手だったというだけでなく、事務所や女優自身が、ぜひこの作品で大胆に脱いで女優として飛躍したい、と考えていたのです。 小川真由美などは、スタッフの熱意に心打たれ、「ここは脱いだほうがいいんじゃないかしら」と自ら提案し、台本にない濡れ場を演じたという伝説もあります。
そんな2時間ドラマも、2005年以降はバラエティや映画を含めた総合特番枠へのリニューアルが進んで、衰退の道を歩むことになります。今では過去の遺産で古くさいイメージになりつつありますが、一流女優たちがしのぎを削る熱い舞台だった時代は確かにあったのです。