「コロナ禍で30代以下の女性を中心に、自殺者が増加しています。国際的に比較して、日本は介護施設での感染率が低いですが、介護職の人はプライベートの行動を制限されているようです。生活の変化、行動抑制のストレス、不安が増大するなか、全員が変化に対応できているわけではない」
閉塞感やイライラが募るばかりだが、評論家の呉智英さん(74才)は、「冷静になること」を国民に呼びかける。
「社会の分断は常に目に見えないかたちで進み、日頃から持っている不満や偏見は、新型コロナなどの有事の際に一挙に噴出します。たとえば、年寄りは若者だけ遊んでいて面白くないし、若者は年寄りについて『我々の稼ぎから年金もらっているじゃないか』との不満を抱く。それなのに国は世代間の対立を避けるような配慮をしていません。
そうしたなかで、デマや暴動が起きて分断が進み、人々が互いに憎み合う可能性があります。その状況を乗り切るための特効薬は存在せず、一人ひとりが冷静になるしかありません。私も高齢で基礎疾患があって新型コロナが怖いです。世代間の対立を乗り越えて新型コロナに打ち克つためにも、まずは冷静になるべきだと思います」
何もやらない国を嘆くより、明るい未来に向かって「共闘」するのがいちばんいいのだ。
※女性セブン2021年1月1日号