“特効薬”が治療を変えた
日本人男性の死亡原因1位の肺がんは全症例で約9ポイント近く上昇している。背景には、ここ10年の放射線治療技術の急速な進化がある。
「それまで肺がん患者への放射線治療は“焼畑農業”のように広範囲に照射していたため、副作用による肺炎で亡くなることが多かった。しかし近年はがん細胞だけにピンポイントで放射線を当てることが可能になった」(同前)
さらに2014年には“特効薬”が登場した。
『コロナとがん』(海竜社刊)の近著がある、東京大学医学部附属病院放射線治療部門長の中川恵一医師が解説する。
「分子標的治療薬『オプジーボ』は開発者の本庶佑氏がノーベル医学・生理学賞を受賞した画期的な薬で、2015年からは肺がんでの使用が承認され、生存率の上昇に大きく貢献しました。現在はほかの部位にも適用が拡大されており、この先様々ながんの生存率を引き上げる可能性があります」
※週刊ポスト2020年12月25日号