破壊措置命令が発令できなかったケースも
弾道ミサイル破壊措置命令とは、弾道ミサイルなどが日本に飛来・落下する恐れのある場合に、それを破壊するよう防衛大臣が自衛隊に命じるものだ。
原則として内閣総理大臣の承認を得た上で行われるが、事態の急変などにより緊急度が高まった場合は、防衛大臣の判断において、かつ、非公表で命じることができる。2009年3月、政府は北朝鮮が4月に打ち上げるとした飛翔体について初めて発令した。
2016年8月3日の弾道ミサイル発射時は、破壊措置命令が出ていなかった。発射兆候の事前探知が難しくなっているからだ。この時に発射されたミサイルは、中距離弾道ミサイル「ノドン」(射程1300キロ)の可能性が高く、弾頭は秋田県の西方約250キロの日本海に着弾した。
これまでに日本上空を通過した弾道ミサイルは米国の偵察衛星によって、事前に発射兆候(弾道ミサイルの発射準備の様子など)が捉えられていた。
北朝鮮西部に位置する東倉里の施設は「西海衛星発射場」と北朝鮮側は呼称している。同発射場は、2012年4月に人工衛星(光明星3号)の打ち上げ直前、ロケット(長距離弾道ミサイルとみられるロケット「銀河3号」)が発射台に設置された状態で外国メディアに公開された(打ち上げは失敗。打ち上げから1分20~30秒後に空中で爆発)。