国内

鴻上尚史 炎上で得た教訓「こんなにもライブ業界が不要と…」

aa

小説家の志駕晃さん(右)と作家で演出家の鴻上尚史さんが2020年を振り返る

 志駕晃さんの『女性セブン』の人気連載小説をまとめた単行本『彼女のスマホがつながらない』が発売になった。同作はコロナに揺れる日本で発生した現実の出来事やニュースを、リアルタイムで反映させた意欲作。発刊を記念して作者の志駕さんと、同じクリエイターとしてコロナ禍で芸術文化を守り続ける鴻上尚史さんが、激動の1年を語る。

〈小説と演劇。表現方法は違えど、ともに「物語」を作るふたりの対談はその方法をめぐってスタートした〉

鴻上:ミステリーの魅力って、ストーリーそのものの面白さと、トリックの驚きの両方から成り立っていると思うんですが、志駕さんは、トリックとストーリーのどちらから考えているんですか?

志駕:基本的には、ストーリーからです。どんどん話を先に進めて、いよいよ主人公が追い詰められたら、さてどう乗り越えようかとトリックを考える。

鴻上:こんな事件が起きて、主人公がピンチになって……と書き進めて、最終的な解決法は後から考える、と。

志駕:そうです。最後のどんでん返しの部分を先に考えてしまうと、簡単なトリックで終わってしまう。例えば、主人公がスマホを落としたことが大事件に発展する『スマホを落としただけなのに』は、キーとなるトリックを思いつかないまま書き進めていましたが、「スマホの話だから、そのトリックもスマホ絡みがいいな」と思いつきました。

鴻上:書き下ろしはそれでいいかもしれないけれど、連載は困るんじゃないですか?

志駕:想像以上に大変でした。実は今回が初めての連載だったんです。しかも女性誌の小説連載だったので、芸能人のスキャンダル記事とか、リアルなネタのなかに、架空の殺人事件の話はなじまないんじゃないかと思って、最初は断ろうとしたんです。

 だけど『女性エイト』という架空の編集部を登場させて、実際に行っている芸能人の直撃取材や張り込み取材の様子を織り交ぜて、そこに女子大生のパパ活殺人事件が重なっていけば週刊誌の読者はその舞台裏を知りたいだろうし、年頃の子供のいる女性にとってパパ活は娘がやっているかもしれないし、夫がだまされるかもしれない。だから興味を持って読んでくれるだろうと考えた。それで連載を引き受けました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト