国内

「コロナは風邪」主張グループの活動に戸惑い怯える住民たち

PCR検査センターの前に、反対論者のグループがあらわれた

PCR検査センターの前に、反対論者のグループがあらわれた

 思想・意見・主張・感情などを表現し、発表する自由、いわゆる「表現の自由」は守られるべきものだが、その表現のために他者を過剰に攻撃したり、威力業務妨害まがいの行為を繰り返したりするのは、彼らにとっての「正義」のためとはいえ許されることなのだろうか。ライターの森鷹久氏が、「コロナは風邪」と主張し、新型コロナウイルスを新たな感染症として考えること自体を拒否するグループによって生じている混乱と、戸惑う人々についてレポートする。

 * * * 
 12月、ある平日のお昼過ぎ。客足がパタリと止んだかと思うと、外が少し騒がしくなったことに気がついた。こっそり店外を覗くと、プラカードを持った男女が数人、通行人に向かって何か叫んでいるのが見えたという。宗教か何かの勧誘か……にしては騒々しい。少し観察して、思わず「あっ」と声を上げた。

「男の人たちが大声で『コロナは風邪です!』と叫んでいました、マスクもしないで。テレビで見かけたあの集団だと思うと本当に怖くなりました。一刻も早くどこかへ行って欲しいと、店のみんなでじっと身をすくめ、カウンターの中に隠れていたんですよ」

 こう話すのは、東京・港区のとある飲食店従業員女性(30代)。店の入るビルに「新型コロナウイルス」の検査センターがオープンしたのが12月の初頭だった。自覚症状のあるコロナウイルス患者がビルにたくさん押し寄せてきたらどうしよう、当初はそんな不安もあったというが、検査に来る人たちとビルやテナント関係者とのトラブルはなく安心していた。そんな最中に起きたのが、冒頭の騒動である。

「うちのお店に入ろうとするマスク姿のお客さんや搬入業者さんに向かって『マスクなんかするな』と声をあげ、お客さんは逃げるように立ち去っていきました。近くの店舗の男性従業員が文句を言いに行くと、マスクもせずに至近距離に近づいてきて、コロナを信じているのか、情報弱者だと、集団で男性数人に詰め寄られていました」(飲食店従業員女性)

 近くのビルのガードマンの男性(50代)は、この一部始終を目撃。自身の管理管轄であるビルに近づかれてはたまらないと思い、集団の一人と話をしたという。

「集団は、都知事選にも出馬した経験のある男性の支持者。新型コロナウイルスは単なる風邪で、恐れる必要はなく、検査場の前でみんなに教えてあげているんだ、という主張をしていました」(ガードマンの男性)

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン