高値で売れるうちに「処分」する
いちばんお勧めなのが売却です。都心や都市部の一等立地以外、大半の地域は住宅価格の下落が予想されます。特に高度成長期に分譲されたベッドタウンなどは、住宅価格が年3%以上下落し続ける予測もあります。特段利用する予定がなければ、できるだけ早期に売却するのが良いでしょう。ほとんどのケースで売り値は「今」がいちばん高いはずです。
売却の手順としては、まず不動産仲介業者に査定を依頼します。査定だけなら基本は無料です。相場観をつかむためにも2、3社に依頼するのがよいでしょう。
この中で、ことさら査定価格が高いものは省きます。これは、査定価格を上げることで売却の依頼を受けようとする意図が見えるためです。不動産市場には相場というものがあり、その相場価格より飛び抜けて高い価格で売れるということは基本的にないと思ってください。残った業者のうち「査定価格の根拠が明確に示されているか」「購入者のターゲット、販売の戦略は示されているか」などを参考に売却依頼先を決定します。
売却依頼の契約にはおおまかに言って、1社だけに依頼する「専任媒介」と、複数社に依頼する「一般媒介」があります。原則としては専任媒介がよいでしょう。売り主からの仲介手数料を事実上約束してもらえることで、不動産仲介業者も積極的に動きやすくなります。専任媒介であっても、他社も物件を紹介することができるので、購入者を見つけてくれることもあります。
「駅から近い」「建物が比較的新しい」「価格競争力がある」など、いわゆる売れ筋物件の場合にはあえて一般媒介として、健全な競争を促すといったやり方もいいでしょう。
もちろん、いろんな理由で空き家を処分できない理由があるのは知っています。「荷物が残っている」「思い出が詰まっている」「相続で揉めている」など。しかし、そうした問題も含めて早めに解決してしまったほうが経済的には得策ですし、後々苦労することもありません。
リフォーム代が回収できれば「賃貸」に回す
駅近マンションや戸建てで需給が逼迫している地域などで検討できるのが、賃貸に回すという選択肢です。ただし、貸すとなると多くのケースで一定の修繕・リフォームが必要になります。必要なリフォーム費用の見積もりを取り、コストの投資回収期間を計算してみましょう。
たとえば150万円のリフォーム投資をした場合、家賃8万円なら年間家賃収入96万円と、1年半程度で投資額を回収できる計算(賃貸管理料=家賃の5%程度、マンションなら管理費や修繕積立金、固定資産税の支払いなどは含まず)になります。
そのうえで、賃貸に回すことがはたして割に合うかを冷静に見極めたいところです。将来的には、空室率や経年による家賃の下落、修繕費用の負担も織り込む必要があります。