頻繁に行われる大浴場の清掃
ホテルのパブリックスペースという点でいえば、大浴場にも変化があった。密を避ける(利用者数の調整)ために、使用できるロッカーをひとつおきとしているホテルが多く見られ、パウダーコーナーではフリーにピックアップできるアメニティが撤去されていたホテルもあった。
時に大浴場の清掃状態に疑問符がつく施設も見られたが、こまめなチェックと清掃が入るようになったのはコロナ禍ならではの光景だろうか。
アメニティといえば都心の新しい宿泊特化型ホテルで印象的なサービスが見られた。ビジネスホテルなどではロビーでワゴンにどさっと入ったアメニティバーをよく見かけるが、1人分ずつに分けられたアメニティが小さな紙袋に入って並んでいたのだ。
一瞬、有料アメニティに見えたが無料とのこと。袋に貼られた丸いシールの色で男女別もわかる。手作り感や特別感に加え、余分に持っていかれないだろうし感染対策にもなっている。ITなど最新技術を駆使して省人力化を図ることがコンセプトのホテルだけに温もりが伝わってきた。
GoToでチェックイン行列が問題に
事業者支援の目的でスタートし、現在中止されているGoToトラベルは、事業者、ゲスト双方に様々な損益をもたらしていたが、宿泊施設でみると現場への負担は計り知れない。
たとえば、ホテルによっては“チェックイン時の行列問題”も深刻になっていた。キャンペーンにまつわる説明や手続きで、通常の倍以上の時間がかかるなど宿泊客へ負担を強いている状況を嘆く現場の声が多く聞かれた。
そんな中、昨年取材で訪れた「オリエンタルホテル東京ベイ」(浦安市)で興味深い光景を見た。東京ディズニーランドのゲストが多く訪れるホテルということで、子連れファミリーも多いホテルであるが、ロビーに面して大きなプロジェクションマッピングが設置されている。前に立つと自分が映像に入っているような動きに子どもは大喜び。チェックインの待ち時間も苦にならない様子だ。
チェックイン待ちも銀行でみるような押しボタン式を導入し、ボタンひとつにも丁寧な消毒を行う徹底ぶり。プロジェクションマッピングの前も密にならないよう管理するなどホテル現場の努力は続く。
ディズニーランドの閉園後など特定の時間にチェックインが集中していたため、GoTo対策というよりも、以前からチェックイン待ち対策の努力を重ねてきたオリエンタルホテル東京ベイだが、結果としてGoToという大きな環境の変化によって功を奏していた。