――ロケバスつながりで、また副業が増えたとか。
木村:はい、ヒロミさんの専属ドライバーをさせてもらっています。昨年12月頭にスタッフさんに呼ばれてご飯に行ったら、ヒロミさん、木梨憲武さん、TKO木下隆行さんなどがいらっしゃった。ヒロミさんとは一度だけ面識があったのですが、きちんとお話しするのは初めてでした。「お笑い大変だろ、食っていけてんのか?」と聞かれたので、正直食っていけてないです、家族は嫁と子供が2人います、と答えました。「おまえ、それじゃダメだろ。ロケバスドライバーやってんだってな。じゃあオレ専属の運転手やるか?」と言われたんですけど、いやいやと。冗談だと思ったんです。
30分くらいしてからヒロミさんに、「さっきみたいな話を真に受けないやつが結構いるんだよな」と言われて、本気で提案してくれたんだなって。周りも「やれよ木村くん」みたいな流れになって、ありがたくその月からヒロミさんの運転手をさせてもらっています。
ヒロミさんとはあまり面識がなかったので、最初はビクビクしていたのですが、すっごく優しいんです。何がどう優しいのかは秘密です(笑い)。お笑いの仕事をやりながらでもいいと言ってくださったので、週3回くらい運転をしています。本当にありがたいです。人生はおもしろいですね、なにが起こるかわかりません。
――収入が安定しにくい近年、副業を解禁する企業も増えています。今や副業の走りともいえる木村さんは、副業についてどう考えている?
木村: やっと時代がぼくに追いつきましたね(笑い)。冗談はさておき、お笑い芸人をしているのでどこまでが副業かという線引きは難しいですし、線引きしている場合じゃない。子供たちを食べさせないといけませんからね。手広くやっているように見えるのは、必死に生きてきた結果です。
これから副業をしようとしているかたへのぼくなりのアドバイスは、好きなことを絡ませると長続きするということ。ぼくの場合は、ロケバスは運転が好きだから楽しい。『レンタルおっさん』も人の話を聞くのが好きだから楽しい。YouTubeは「ウケるかな?」と狙っていた時は伸びず、開き直って好きなアウトドアのチャンネルを作ったら伸びました。テレアポのバイトをしたことがあったんですけど、好きではないので続きませんでした。使い古された言葉ですが、好きこそ物の上手なれ、ですね。
【木村卓寛(きむら・たくひろ)】
1976年 5月 22日生まれ。兵庫県出身。1999年に向清太朗とお笑いコンビ・天津を結成。2008年に詩吟と下ネタを合わせた『エロ詩吟』で人気を博し、著書は10万部超のベストセラーとなる。現在はコンビ、ピン活動のほか、YouTubeチャンネル『天津木村のてんきむチャンネル』や、ロケバスの運転手、『レンタルおっさん』などの副業も行っている。
撮影・取材・文/小山内麗香