誰の影響を受けてワクチン接種を判断するか
モデルでは、それぞれの人が接種の判断にあたり、他人の行動を参考にすることを想定している。そもそもワクチンを接種するかどうかを判断する際、読者のみなさんは何を参考にするだろうか?
「他人の様子は一切気にせず、自分一人で決める」という人もいるかもしれない。だが、たいていの人は、「他の人が接種を受けて、その結果、感染を防げたようなら自分も受けてみよう」というように、他人の真似をすると考えられる。つまり、当面は様子見をしておこう、という考え方だ。前出のメディアの世論調査の結果にも、そのことが表れている。
ここで問題となるのは、誰の真似をするかだ。まず考えられるのは、家族や友人など身近な人だ。しかし、現代のような情報化社会では、参考になるのは身近な人ばかりとは限らない。
例えば、メディアで有名人の接種が報じられれば、その影響を受ける人も多いはずだ。アメリカでは、元大統領や次期大統領などが、予防接種を受ける姿を公開しているが、これは接種推奨の効果を考えてのことといえそうだ。
では、接種に関する情報が開示されていて、模倣する対象が多い場合、どうなるだろうか?
先ほどのモデルによると、グラフの主に2の部分で違いがあらわれるようだ。情報が開示されるほど、デメリットが上がった時の接種率の低下の傾きが急になる。つまり、ワクチン接種に関する情報がオープンな社会では、人々がデメリットの情報に敏感になるとの結果だ。
ワクチンのデメリットの情報をいかに公表するかが、接種率上昇のカギといえそうだ。