太平洋へ向かう海洋調査船が増加

 中国の海洋調査船の動向に関して、船が位置や針路などを発信する船舶自動識別システム(AIS)の公開データから、2020年11月4日までの過去1年間にわたる追跡を行った結果、情報が確認できる中国調査船34隻(総排水量307~2万トン)のうち、4割にあたる13隻が太平洋方面に進出していたという。

沖縄県尖閣諸島海域で中国公船を監視する海上保安庁の巡視船(海上保安庁提供/時事通信フォト)

沖縄県尖閣諸島海域で中国公船を監視する海上保安庁の巡視船(海上保安庁提供/時事通信フォト)

 中国が領有権を主張する南シナ海はすでに軍事拠点化が進んでおり、次の標的として太平洋の海洋権益に狙いを定めているとみられる。

 それだけでなく、中国漁船も不審な動きを見せている。IHIジェットサービスによると、4月には尖閣諸島周辺に32隻の漁船団が出没した。いずれも遭難時用の識別コードを持っていたが、中には全く別のタンカーなど約150隻の中国船と同じ番号を共有している例もあったという。(引用元/「日本経済新聞」2020年11月25日)

 違法な中国船の動きを日本は封じ込めなければならない。しかし、このような中国船を含む、外国船や外国人を取り締まるための日本の法律は存在せず、拿捕や逮捕によって強制的に止めることはできない。

 このため、日本政府は2020年7月、調査船の取り締まりが可能となる法整備の検討に入った。外国船による科学的な海洋調査の場合でも、海上保安庁による拿捕や逮捕が可能となる新法制定や法改正を想定している。

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