スポーツ

かつては巨人も出し渋り 年俸から見る「中継ぎ投手陣」の地位の変化

2年で年俸が約4倍になった中川皓太(時事通信フォト)

2年で年俸が約4倍になった中川皓太(時事通信フォト)

 先発は中6日100球──。いつの間にか、日本球界にはそんな“常識”が定着するようになった。しかし、今季から巨人の投手チーフコーチ補佐に就任した桑田真澄氏はこの風潮に異議を唱え、「中6日なら135球完投を目指すべき」だと主張している。

 かつてのプロ野球は“先発至上主義”で、中継ぎ・リリーフへの配置転換は“降格”と感じる投手もいた。両者の差は年俸にも現れており、中継ぎは毎試合のように登板しても年俸アップ額は少なかった。プロ野球担当記者が振り返る。

「1990年代くらいまで、中継ぎは契約更改の時にも理解されづらい役割でした。年俸のアップ率も、先発に比べると低かった。12球団の平均年俸で常にトップ争いをする巨人でさえも、契約更改時のリリーフ投手の保留は目立っていました」(以下同)

 1994年、巨人は同率で最終戦を迎えた中日との10.8決戦に勝って優勝。日本シリーズでも西武を撃破し、5年ぶりの日本一に輝いた。バラ色のオフになるかと思いきや、契約更改では保留が相次いだ。

「年内に斎藤雅樹、川相昌弘、大久保博元など主力12選手が保留。年明けに初交渉した槙原寛己も保留。デーブ大久保は自費キャンプに突入しました。『勝利の方程式』と呼ばれた橋本清、石毛博史も低評価に怒りを爆発させていました」

 抑えの石毛はシーズンを通して働いて45試合5勝4敗19セーブ、防御率3.14をマークしたものの、1回目の交渉で200万円アップのみの5700万円を提示された。石毛は「3年連続故障なしで務めたストッパーは自分だけ」と主張し、交渉は決裂した。「日本一じゃなかったらダウンだった」と告げられたという。年明けの2回目の交渉で、6200万円でサインしたものの、気持ちは晴れなかっただろう。

 中継ぎとしてチーム最多の52試合に登板し、防御率2.41と安定感のある投球でチームを支えた橋本は1回目の交渉で2560万円から1440万円アップの4000万円の提示を拒否し、会見では目に涙を溜めた。結局、キャンプイン直前の1月30日、3回目の交渉で5100万円を勝ち取り、サインした。

「先発、リリーフを兼ねていた便利屋の木田優夫は現状維持の3900万円でしたし、中継ぎとして前半の独走に貢献した岡田展和も900万円増を保留。2回目の交渉でプラス300万円アップの2700万円で更改しました。3本柱の斎藤雅樹、桑田真澄、槙原寛己が数千万円アップになる中で、リリーフ陣は渋い提示をされていました。シーズンで貢献した選手に金額を刻む一方で、このオフには30億円補強をしましたから、選手は納得いかなくて当然だったでしょう」

関連キーワード

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト