芸能

広瀬アリス『知ってるワイフ』が視聴率上向きな理由を考察

広瀬アリス演じる“鬼嫁”に悩まされ…(時事通信フォト)

広瀬アリスが鬼嫁に(時事通信フォト)

 録画視聴が当たり前になっている以上、視聴率を昔のように並べて論じることはあまり意味をなさないかもしれないが、上向きか下向きか、その傾向は作品の評価・勢いを測るうえで重要な要素である。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 大倉忠義&広瀬アリス主演のドラマ『知ってるワイフ』(フジテレビ系木曜午後10時)に関して、「低視聴率」「綾瀬はるかのドラマと明暗を分けた」など数字の低さを指摘するネガティブな記事が目につきます。たしかに綾瀬はるか主演『天国と地獄』(TBS系日曜午後9時)第3話までの平均視聴率は15.2%。それに比べると『知ってるワイフ』の平均視聴率は半分にも届かず、大きな開きがあります。

 しかし、だからといって、ドラマの面白さが半分以下かというと決してそうとは言えません。

『知ってるワイフ』の注目点は、まずは役者のリアリティ。そして冬に始まった新ドラマの中でも数少ない「視聴率上向き傾向の作品」であること。第3話6.5%、第4話視聴率7.6%、第5話視聴率7.8%とジワジワ数字が上昇中です。

 物語は夫婦のタイムワープファンタジー。妻の澪(広瀬アリス)に家事や育児を任せきりの銀行員・元春(大倉忠義)は、仕事場でもうだつが上がらないサラリーマン。職場で上司に怒られ帰宅すれば妻にビクビク。そんな中で偶然、過去にワープする方法を手にした元春。「人生の選択を間違えた」とばかり過去へ戻り、違う人生の選択を重ねていくのだが……。

 見所はいくつもありますが、まずは広瀬アリスさんの演技に注目です。制服姿の高校生、赤ちゃんを抱えた主婦、そして飲食店のパート従業員、認知症の母の世話をする娘と、くるくる転換していく。違う属性を上手に演じ分けていきます。

 タイムワープが絡む物語だけに、一人の役者がさまざまな年齢を演じ分ける難しさがありますが、「主婦」と「高校生」を同時に演じる広瀬さんに不自然さがない。高校生ならたしかにこんなしぐさをするかも、と表情から雰囲気までを巧みに醸し出していく。一方、妻として爆発するシーンのエネルギーもすごい。怒髪天を衝く勢いで目を剥いて鬼の形相になる。追い詰められた感じがリアルで、妻・澪が怒らざるを得ない「切実さ」がじわりと伝わってきてついつい引き込まれてしまう視聴者も多いようです。

 妻は家事育児に追われて自分の時間なんてみじんもない。夫は話も聞いてくれない上に、認知症の母の世話も重なり、孤独感にさいなまれる。一方、夫の理屈としては「仕事で頑張っているから、家にいる時くらいは好きにさせて」。そんな二人のすれ違いが妙にリアリティをもって描かれていきます。とはいえ、広瀬さんは「結婚願望なんてみじんもない」と豪語しているそうですから、主婦の生活感も根っからの役者力によるものでしょう。

関連記事

トピックス

“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
6月15日のオリックス対巨人戦で始球式に登板した福森さん(撮影/加藤慶)
「病状は9回2アウトで後がないけど、最後に勝てばいい…」希少がんと戦う甲子園スターを絶望の底から救った「大阪桐蔭からの学び」《オリックス・森がお立ち台で涙》
NEWSポストセブン
発見場所となったのはJR大宮駅から2.5キロほど離れた場所に位置するマンション
「短髪の歌舞伎役者みたいな爽やかなイケメンで、優しくて…」知人が証言した頭蓋骨殺人・齋藤純容疑者の“意外な素顔”と一家を襲った“悲劇”《さいたま市》
NEWSポストセブン
反日的言動の目立つ金民錫氏(時事通信フォト)
韓国政権ナンバー2・金民錫首相の“反日的言動”で日韓の未来志向に影 文在寅政権下には東京五輪ボイコットを提起 反日政策の先導役になる可能性も
週刊ポスト
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《浅田真央と村上佳菜子が断絶状態か》「ここまで色んな事があった」「人の悪口なんて絶対言わない」恒例の“誕生日ツーショット”が消えた日…インスタに残された意味深投稿
NEWSポストセブン
6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン