芸能

妻に先立たれた萩本欽一の別れの作法「僕は妻に線香をあげない」

萩本欽一が妻のお葬式で手を合わせず、お線香も上げない真意とは

萩本欽一が妻のお葬式で手を合わせず、お線香も上げない真意とは

 かつて3つの冠番組の視聴率を足すと100%を超えたことから、「視聴率100%男」と呼ばれ、コメディアンとして芸能界の頂点に上りつめた萩本欽一(79)。しかし、半世紀にわたって連れ添い、彼を支え続けた妻の存在は知られていない。その最愛のパートナー・澄子さんが、半年前にがんで亡くなった。欽ちゃんは、妻の病、そして死にどう向き合ったのか──コラムニストの石原壮一郎氏が聞いた。

 * * *
 ここ何年かは、スミちゃん(澄子さん)は骨折で何回か入院してたんだけど。お見舞いに行こうとすると「すぐ退院するから、来なくていい」って言うんだよね。

「もう東名に乗っちゃったよ。お見舞いの品を置いたら帰るよ」って言って強引に向かった。そしたら、近所に住んでて最後まで面倒を見てくれた義妹に、「すぐ来い」って連絡したみたい。なんだろうと思って駆けつけたら、「眉を描いてほしい」だって。入院するときは、まずお化粧道具を準備してたらしい。

 昔から、ぼくが家に帰ったときには、いつもお化粧してて、オシャレなんだなと思ってた。亡くなってから義妹が「義兄さんに会うために決まってるじゃない」って。ぼくの前ではお酒は一滴も飲まなかったけど、実際は好きだった。ぜんぜん知らなかったな。

 家にみんなが集まったときに、息子が「お父さんのどこが好きだったの?」って聞いたら、

「うーん、『好き』って思ったことはないわね」

 なんて言うから、ぼくが「じゃあ、なんで結婚してくれたんだよ」って問い詰めた。そしたら、ちょっと考えて、

「ファンだったのよ。今もずっとファンなの」

 そう言ってくれた。あれは嬉しかったな。

「ありがとうね」

 スミちゃんから初めて「ありがとう」って言葉を聞いたのも、4年前にがんがわかってからだった。

 ある日、ぼくが見舞いに行ったら、帰り際に「ありがとうね」って言ってくれた。ぼくは思わず大きな声で、

「スミちゃんから『ありがとう』って言ってもらっちゃった! 今日はとっても嬉しい日だなあ。バンザーイ!」

 そう言って、本当に両手をあげてバンザイしたんだよね。

 人間って、死を意識すると、素直になれるのかもしれない。「一生懸命」って言葉があるじゃない。命を懸けて一生を振り返って、初めて「ありがとう」って言葉が出てきたのかな。そう考えると、なおさら嬉しいな。

 本当に「ありがとう」を言わなきゃいけないのは、ぼくのほうだよね。でも、あらたまって言ったら、「私、もう長くないのかしら」なんて思わせちゃう。だから、なかなか言えなかった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン