国内

江本孟紀「アスリート議員は“ベンチがアホ”とは言えない」

橋本聖子・組織委会長はまだこれから信頼を得ていく必要がある(時事)

橋本聖子・組織委会長はまだこれから信頼を得ていく必要がある(時事)

 五輪組織委の橋本聖子・会長の前途は多難だ。過去の高橋大輔・選手に対するセクハラ・スキャンダルが海外でも大きく報じられ、「女性差別」のネガティブ・イメージを払拭するには至らなかった。また、橋本氏は政界に出た時から「森派のアスリート枠議員」と言われ続け、今回の会長就任でも当初は自民党国会議員のまま活動しようとしたことで、「これは森派のオリンピックなのか」と批判された。一転して自民党こそ離党したが、議員辞職は拒み続け、橋本氏に代わって五輪相になった丸川珠代氏もまた旧・森派(現・細田派)であることから、「森派の玉突き人事」と見られてしまっている。

『週刊ポスト』(2月26日発売号)では、特にアスリート出身議員に注目し、その歴史と実績、スキャンダルが多かった経緯などを報じている。同特集で取材に答えたアスリート議員OBである江本孟紀氏に、改めてアスリート議員の苦悩と課題を聞いた。

 江本氏はプロ野球選手として南海や阪神で活躍し、引退後は野球解説者、タレントを経て1992~2004年に参議院議員を務めた。現役引退のきっかけとなった「ベンチがアホやから野球がでけへん」という発言で知られるように、歯に衣着せぬ論客でもある。同氏は、アスリート議員が軽く見られる風潮には反対し、橋本会長をアスリート出身だからと軽く見ることがあってはならないと話す。

「政治の世界では、スポーツって軽く見られるんですが、オリンピックのような国家的イベント、学校体育に代表される教育としての側面、高齢者や障害者にも重要な健康面での役割など、さまざまな面で政治とも社会とも密接に関わっています。それなのに、永田町でも国民一般の意識でも、政治とスポーツというのはあまり関連深いものだとは思われていないのです。もともと僕はスポーツ界からもどんどん政界に進出すべきだという考えで議員活動を始めたのです。

 究極的に言えば、政治の役割は国民から集めた税金をどう使うのかを決めることです。スポーツが大きな産業であり、選手個人でも、例えばプロ野球やプロサッカーの選手はものすごい額の税金を納めているわけです。だったら、アスリートが政治に関心を持つべきなのは当然だし、政治はスポーツ行政をどうすべきか真剣に考えるべきでしょう。

 アスリート議員だって、経験と実績を積めば大臣になればいいし、橋本さんは能力も経験もあるから選ばれたと思います。僕は適任だと思っていますよ。マスコミでも差別があるんですよ。大新聞の政治部記者がエリートで、運動部の記者やスポーツ新聞なんかは下に見られているでしょう。実際にはスポーツは社会や経済に大きく貢献しているのだから、そういう批判や差別に負けずにしっかりやってもらいたいですね」

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン