国内

緊急地震速報の精度向上 なぜ「揺れる前」に震度を弾き出せるのか

気象庁が精度の高い地震検知をできるのはなぜ?(写真/共同通信社)

気象庁が精度の高い地震検知をできるのはなぜ?(写真/共同通信社)

 東日本大震災から10年──。2月13日深夜に起きた福島県沖地震では、揺れの検知から津波の有無まで、かつてない速さと精度で伝えられた。地震や津波の発生時に、震源や規模、津波の有無、波の高さなどを解析する気象庁の地震活動等総合監視システム『EPOS』が継続的にアップデートされ、進化しているのだ。

 また、携帯電話などから流れる「緊急地震速報」の精度も上がっている。

 これまで巨大地震が起きた場合、震源を推定して震度を予想する手法だけでは、震源から離れた場所の震度予想が難しかった。東日本大震災では、関東でも震度5強以上を観測したが、速報は流れなかった。過去には同時に発生した複数の地震を一つの地震と認識して、震度を過大予測する誤報も発生していた。

 そこで気象庁が2018年に導入した新システムがある。震度計で観測された揺れから、まだ揺れていない周辺地域の震度を予想する「PLUM法」だ。震源地からの距離に関係なく、高い精度で震度を予想できるという。

「PLUM法では震源や規模の推定はせず、地震計で観測された揺れの強さから震度を予想します。ある場所が強く揺れたら、その付近も同じように強く揺れるという考え方で震度を予想して警報を出すシステムです。

 PLUM法を加えた緊急地震速報は、人を介さずに自動配信されます。その速報を受けてテレビ、ラジオなどの放送波や自治体、地域の防災無線などが警報を流します。個人の携帯電話が受信する緊急速報メールやエリアメールもその仕組みが活用されています」(気象庁地震課)

 そうして届く携帯電話の緊急地震速報だが、機種やキャリアによってまちまちなのが心もとないところでもある。防災システム研究所所長の山村武彦氏が言う。

「多くのスマホは自動的に災害速報を受け取るようになっていますが、機能が備わっていない機種もあります。そうした場合は、防災速報のアプリをインストールしておけば安心です。

 主流なのは『Yahoo!防災速報』や『NHKニュース・防災』ですが、多くのアプリが気象庁と連動しているので、精度に問題ありません。タイムラグもほとんどなく緊急地震速報が届きます」

『Yahoo!防災速報』や『NHKニュース・防災』アプリでは、登録した地域に加えて、「現在地連動」の設定をすれば、旅行先など現在いる場所の緊急地震速報も受信でき、避難場所やハザードマップなども確認できる。

※週刊ポスト2021年3月12日号

関連記事

トピックス

多忙なスケジュールのブラジル公式訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《体育会系の佳子さま》体調優れず予定取り止めも…ブラジル過酷日程を完遂した体力づくり「小中高とフィギュアスケート」「赤坂御用地でジョギング」
NEWSポストセブン
麻薬密売容疑でマグダレナ・サドロ被告(30)が逮捕された(「ラブ・アイランド」HPより)
ドバイ拠点・麻薬カルテルの美しすぎるブレイン“バービー”に有罪判決、総額103億円のコカイン密売事件「マトリックス作戦」の攻防《英国史上最大の麻薬事件》
NEWSポストセブン
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一(50)。地元でもショックの声が──
《地元にも波紋》「デビュー前はそこの公園で不良仲間とよくだべってたよ」国分太一の知られざる “ヤンチャなTOKIO前夜” 同級生も落胆「アイツだけは不祥事起こさないと…」 【無期限活動停止を発表】
NEWSポストセブン
政治学者の君塚直隆氏(本人提供)
政治学者・君塚直隆氏が考える皇位継承問題「北欧のような“国民の強い希望”があれば小室圭さん騒動は起きなかった」 欧州ではすでに当たり前の“絶対的長子相続制”
週刊ポスト
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《あだ名はジャニーズの風紀委員》無期限活動休止・国分太一の“イジリ系素顔”「しっかりしている分、怒ると“ネチネチ系”で…」 “セクハラに該当”との情報も
NEWSポストセブン
月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』主演の中井貴一と小泉今日子
今春最大の話題作『最後から二番目の恋』最終話で見届けたい3つの着地点 “続・続・続編”の可能性は? 
NEWSポストセブン
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一
《どうなる“新宿DASH”》「春先から見かけない」「撮影の頻度が激減して…」国分太一の名物コーナーのロケ現場に起きていた“異変”【鉄腕DASHを降板】
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン