国内

総務官僚の「接待問題」に学ぶ、都合の悪い追及を受けたときのトボケ方

衆院総務委員会で答弁する参考人の山田真貴子内閣広報官(時事通信フォト)

衆院総務委員会で答弁する参考人の山田真貴子内閣広報官(時事通信フォト)

 嘆息したり愚痴ったり批判するだけではもったいない。学びはどんな状況にもある。日々大人力について研究するコラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
 ほとんどの人は、7万円を超える食事をおごってもらえる可能性はありません。おごる機会もないでしょう。しかし、ほとんどの人はただ酒が大好きです。そして、ただ酒を飲ませた相手には、何らかの「見返り」を求めずにはいられません。

 このところ、菅義偉首相の長男が深くかかわっているとされる「接待問題」が、世の中や国会を揺るがしています。首相を含めて当事者の言い訳を聞いていると、呆れるやら情けないやらですが、腹を立てても腹はふくらみません。せっかくなので、今後の人生に何か役に立ちそうな要素を探ってみましょう。

 まぶしいほどにスポットが当たっている山田真貴子内閣広報官や、絵に描いたようなトカゲのしっぽ扱いをされている総務官僚のみなさん、そして前に出てきて説明するのが苦手な恥ずかしがり屋さんの菅首相は、さすが高い社会的地位にいらっしゃるだけあって、私たちに大事なことを教えてくれています。

 それは「都合の悪い追及を受けたときに、どうトボケればいいか」というノウハウ。高額な接待を受ける心配はないにせよ、利害関係者に居酒屋でおごってもらったり、友人の会社に便宜をはかったりなど、誰しも「大きな声では言えない行為」をしてしまう可能性はあります。「不適切な関係」を配偶者に責められる事態だって、ないとは言い切れません。

「接待問題」が教えてくれたのは、動かぬ証拠が出てくるまでは「記憶にない」と言い張れ、ということ。そして、証拠が出てきてからも、一気にすべてを認める必要はありません。「音声は自分かもしれないけど、突っ込んだ仕事の話はしていない」「菅首相の息子がいた気もするけど、よく覚えていない」など、トボケられる部分はあくまでトボケます。

 厳しい追及を受けたとしても、そこでひるんで白旗を上げてしまうようではまだまだ素人(何の?)。一ミリでも自分の罪が軽くなるように、言葉を慎重に選びます。今回の件で「これは、いつか使えるかも」と思わせてくれたのは、次の5つのフレーズ。

その1「今となっては あったのだろうと受け止めております」(総務省・秋本芳徳情報流通行政局長=当時)
その2「完全に別人格ですからね」(菅義偉首相)
その3「私の長男が関係して、結果として公務員倫理法に違反する行為をすることになった。このことについては心からおわび申し上げたいへん申し訳なく思います」(菅義偉首相)
その4「それは本当に心の緩みでございまして」(山田真貴子内閣広報官)
その5「自分の身を省みて、できる限り自らを改善していきたい」(山田真貴子内閣広報官)

関連記事

トピックス

アメリカの人気女優ジェナ・オルテガ(23)(時事通信フォト)
「幼い頃の自分が汚された画像が…」「勝手に広告として使われた」 米・人気女優が被害に遭った“ディープフェイク騒動”《「AIやで、きもすぎ」あいみょんも被害に苦言》
NEWSポストセブン
TikTokをはじめとしたSNSで生まれた「横揺れダンス」が流行中(TikTokより/右の写真はサンプルです)
「『外でやるな』と怒ったらマンションでドタバタ…」“横揺れダンス”ブームに小学校教員と保護者が本音《ピチピチパンツで飛び跳ねる》
NEWSポストセブン
復帰会見をおこなった美川憲一
《車イス姿でリハビリに励み…》歌手・美川憲一、直近で個人事務所の役員に招き入れていた「2人の男性」復帰会見で“終活”にも言及して
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
公設秘書給与ピンハネ疑惑の維新・遠藤敬首相補佐官に“新たな疑惑” 秘書の実家の飲食店で「政治資金会食」、高額な上納寄附の“ご褒美”か
週刊ポスト
複座型ステルス戦闘機J-20 米国のF-35に対抗するために開発された。第5世代ステルス戦闘機(写真=Xinhua/ABACA/共同通信イメージズ)
【中国人民解放軍「最新兵器」】台湾侵攻や海上封鎖を想定した軍事演習も 就役直後の最新空母、ステルス戦闘機から“犬型ロボット”まで、性能を詳細に分析
週刊ポスト
高市早苗首相(時事通信フォト)
高市早苗首相の「官僚不信」と霞が関の警戒 総務大臣時代の次官更迭での「キツネ憑きのようで怖かった」の逸話から囁かれる懸念
週刊ポスト
喫煙所が撤去されてホッとしていたのだが(写真提供/イメージマート)
《規制強化の動き》加熱式タバコユーザーのマナー問題 注意しても「におわないからいいじゃん」と開き直る人、タクシー車内で喫煙する人も
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン
現在は三児の母となり、昨年、8年ぶりに芸能活動に本格復帰した加藤あい
《現在は3児の母》加藤あいが振り返る「めまぐるしかった」CM女王時代 海外生活を経験して気付いた日本の魅力「子育てしやすい良い国です」ようやく手に入れた“心の余裕”
週刊ポスト
上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン