歴史の中で培われた“無形財産”が子どもを育てる
まず、AIで代替が利かないものとして「感性」が挙げられていますが、「感性教育」は伝統女子校のもっとも蓄積が豊富な部分です。例えば跡見学園では、AIに負けない、心の軸を鍛えるためのプログラムとして、今年度は詩人やプロダンサー等の講師から「伝える」について、様々なアプローチの方法と考え方、さらに発表の仕方を学んだ後、その成果をグループでプレゼンテーションしています。
伝統女子校というと、次の時代への対応が遅れているのではないかというイメージがありますが、例えば大妻では、ICT活用力を育てる試みのひとつとして、プログラミング言語「Python(パイソン)講座」が設置されているなど、男子校以上に先端を行っています。
また伝統女子校はサイエンス教育に弱いというイメージがありますが、例えば山脇学園には、理科実験室のレベルを超えた「生命科学系継続研究室」「科学技術系継続研究室」があり、大学の研究室と連携して本格的な研究活動をしています。
こうしたあまり知られていなかった「実力」が徐々に気づかれだしたことが支持が広がった理由かと思います。
コロナが終息し、学校を訪れることができるようになれば、長い歴史の中で培われたどっしりした精神的風土、代々受け継がれてきた独特な行事の数々、優れた多くの先輩たち……そうした無形の財産がさりげなく子どもを育ててくれていることを知るでしょうから、今年の流れは今後も継続するのではないでしょうか。