なんとも、雲行きが怪しい。
「家に帰って恵美子に聞いたら、悪びれる様子もなく『お母さんが貸してって言うからとりあえず貸した。1週間で返す』って言う。10日待っても返ってこん。それで、僕が式場と話をして、『一括では払いきれないから分割にしてください』とお願いして、その後ずっと返済が続きました。トータルで260万円です。もちろん恵美子からは返ってこない。本当につらかったです」
新婦が“ご祝儀泥棒”とはまったくごたいそうな話だ。とにかくこの一家は、これはお金が取れると感じたときの“借り場”への嗅覚が鋭い。そしてしつこく、図々しい。
「その後、恵美子の親も僕にお金を貸してくださいって言うたとですよ。貸したけど結局、返さないけん、自宅に来てもらって話をしたら、うちの両親の前で恵美子のお母さんは堂々と、“うちはお金を借りとらん”って言ったんです。僕、手渡しでお金を貸したこともあったんですけどね」
人のよさにつけこまれた格好になったAさん。しかし、突如として赤堀容疑者が蒸発したことで、結婚生活に終止符が打たれる。
「妊娠した」「あんたの子や」出産費用を請求された
「出て行ったのは、10年前くらいかな。朝、僕が仕事に行ってる間に、お袋(Aさんの実母)に10万円借りて“ちょっと出かけてきます”って出て行ったきり。そのとき、銀行のキャッシュカードを持って行ったりして。出て行った理由はわかりませんけど、捜しもしなかったけどね。うんざりしていたから」
最後に赤堀容疑者と連絡を取ったのも、やはり金絡みだった。
「うちを出た後、9か月ぐらい経ったときに電話がかかってきて“妊娠してた”って言われたんです。“あんたの子や”と。それで出産費用を請求してきた。そもそも何年も夫婦生活がないからあり得ないんですよ。よくそんなことが言えるなと。あいつも、わかってるだろうにね。まあ驚きもしなかったよね」
その後、少しの間、生家がある大川市に戻った後、今回の事件が起こる篠栗町に移り住んだ赤堀容疑者。そこで見つけたのが、裕福な暮らしをする、気の弱そうなママ友・碇利恵だった。
「今回、福岡県警は100人ほどの捜査員を投入して、第三者である赤堀容疑者が“保護責任者”であることを丹念に裏付け捜査をした執念の逮捕です。第三者だとしても碇容疑者と同等もしくは情状酌量の余地がないので重い刑罰が下る可能性もあります」(司法担当記者)
人を弄び、金を貪り食う赤堀容疑者は、鉄格子の中で、今も淡々と次の獲物を狙っているかもしれない。
※女性セブン2021年3月25日号