最近では珍しくない“大卒棋士”の活躍
「棋士と学歴」が話題になるとき、ひとつの名言が必ずと言っていいほど取り上げられる。
「うちの兄貴たちはバカだから東大に行った。私は天才だから棋士になった」
故米長邦雄永世棋聖の発言である。実際、小学生や中学生で奨励会に入り、並みいる強豪を倒しながら厳しい戦いを経てプロ棋士に昇り詰めていくのは、東大に入学することよりも狭き門だ。もっとも比較すること自体がナンセンスだろう。プロ棋士やタイトル保持者になるためには、学歴は関係ない、不要だと考えるのは当然かもしれない。
とはいえ、ここ数年、将棋界で活躍している棋士を見ると、大学や大学院出身者が少なくない。
最近の20代、30代のタイトル保持経験者では、広瀬章人八段(34=元竜王、元王位)は早稲田大学教育学部出身、中村太地七段(32=元王座)は早稲田大学政経学部出身、高見泰地七段(27=元叡王)は立教大学文学部出身である。