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充分な生活費を入れずに妻を苦しめる経済的DV夫 その呆れた言い分

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経済的、心理的DVにじっと耐え続ける女性も(写真はイメージ)

 先の見えない日々に、イライラを募らせる人が増えている。夫婦間もまた然り。妻を支配下に置き、不平不満をぶつける人も多い。年間200あまりの家族の悩みにアドバイスする家族問題カウンセラーの山脇由貴子さんはそうした妻の声にどう耳を傾け、夫婦の関係性をどう変えていくのか。実際に山脇さんのもとに駆け込んだ女性のケースを紹介する。

 * * *

「うるさい」「何度も言うな」「お前のやりくりの問題だ」

 相談にいらしたのは、夫からの生活費のことで悩んでいる女性でした。

夫/高橋浩司(47歳)会社員
妻/佐知(42歳)契約社員
娘(11歳)

 カウンセリング初回はハーブティーをおいれし、私はあまり口をはさまずに、お悩みの内容を具体的にお聞きします。佐知の悩みは、夫が充分な生活費を入れてくれない、というものでした。

「夫はもともと、お金にはうるさくて、生活費も最低限しか入れてくれませんでした。何かと『もっと倹約できるだろう』とばかり言われていました。でも食費は5万円しかくれない月もあって、子どももいますし、どうしても足りない、とお願いして少しずつ出してもらうような生活でした」

 私は佐知に夫の給料を尋ねましたが、「知りません」と首を振ります。夫は佐知に給与明細を渡さないそうですが、大手企業に勤め、年齢的に考えてもかなりの額はもらっているはずだと言います。

「私も契約社員ですが、仕事はしていますので、足りない分は私のお給料からも出しています。でも、私の貯金も取り崩すようになってきているので、これから先もこうしたことが続くのかと思うと心配で。もちろん私は欲しいものはすべて我慢していますが、食費が足りなくなると、子どもが食べたいものを食べさせてあげられないので辛いんです」

 私が「ご主人は何にお金を使っているんですか?」と尋ねると、佐知はこう答えました。

「聞いても答えてくれませんけど、高級クラブやラウンジに通っているのはわかっています」

 クリーニングに出す時に、浩司のスーツのポケットから、お店のカードや名刺が何度か出てきたことがあったのです。

「問い詰めてはいません。きちんと生活費を入れてくれさえすれば、文句を言うつもりはないんです。それに、責めたら、逆に余計にお金をくれなくなるんじゃないかと思って」

 浩司は、佐知がお金のことを持ち出すと、「うるさい!」「何度も言うな!」「お前のやりくりの問題だ!」と言って、それ以上相手をしてくれず、話し合いにならないのだそうです。その一方で、佐知のお金のことは、当然のようにクレジットカードの明細をチェックされ、一つひとつ何を買ったのかを確認され、「なんでそんなもの買ったんだ!」と怒鳴られることもあるのだそうです。

「その時の口調が強いので、私はそれ以上何も言えなくなってしまって」

 経済的DVに加えて心理的DV。今や昔のように右肩上がりに給料が上がっていく時代ではなく、将来が不透明な昨今、意外に多い夫婦間の問題です。しかも、プライベートなお金の問題とあって、妻が誰にも相談できずにひとり抱え込んでいる場合が多いのです。

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