ライフ

ベテラン漫画家・業田良家が考える「デジタル時代の新しい漫画像」

タブレットにデジタルペンで作画する業田氏

タブレットにデジタルペンで作画する業田氏

 デジタル技術の進化が、あらゆる仕事の現場で「働き方」を変えていることは誰もが実感しているだろう。連絡手段にメールやSNSを用いるのに始まり、コロナもあって会議はオンラインで行われるようになった。建設や製造、医療や福祉などのあらゆる現場に「IT」が浸透してきてもいる。そうした中で、「紙とインクとペン」が主な道具だったマンガ制作の現場も様変わりしつつある──。

 現在、NEWSポストセブンで描きおろし公開中の「20年後に働き者になるナマケモノ」は、ナマケモノの少年ナマオが周囲の後押しもあり、無精者である自分を変えていく(?)までの20年を描く4コマ漫画だ。1話ごとに1年経過し、全20話で完結するナマオの物語は、間もなくクライマックスを迎えようとしている。

 昨年大ヒットした、きくちゆうき氏の4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』へのオマージュとなる本作。『自虐の詩』や『機械仕掛けの愛』などの作品でも知られるベテラン漫画家の業田良家氏は、タブレット端末とデジタルペンを駆使してデジタル作画に挑戦した。

「もともとデジタルが苦手で、携帯やスマホを持ったのもずいぶん後になってからでした。インターネットにも抵抗があり、一般人がブログやツイッターで出す情報には価値がないと思い込んでいた。デジタルで漫画を描くことも早い作家さんは20年以上前からやっていたので、僕はかなり遅いほうなんです」(業田氏・以下同)

 生活にデジタル環境があることが当たり前の若者世代と違い、還暦を超えた業田氏にとってこれまでデジタルは縁遠いものだった。完全にアナログ世代の業田氏だが、時代の変化に合わせてデジタルを取り入れようと決意した。

「世の中がどんどんデジタルになる中、ベテラン漫画家といえども、時代に対応しないとやっていけないと思いデジタル作画にチャレンジしました。『レイヤー』『ラスタライズ』『タイムライン』などワケのわからない言葉ばかりで概念に慣れるのに時間がかかり、いまでもわからないことがいっぱいですが、やりながら覚えています」

 実際の作画過程では「何度でも簡単に修正できる」など手描きとの違いを実感したが、業田氏が感じたメリットのひとつは「老眼対策」になることだという。

「近年は老眼で本や新聞を読むのも大変だったのですが、デジタルならいくら小さなものでも簡単に拡大できます。漫画制作でも、一度書いた絵を拡大して細かな線などを入れられるので、ものすごく楽ですね。年齢を重ねるとどうしても視力の衰えが出てくるけど、デジタルは老眼対策に最適です(笑)。それにデジタルでは、紙とペンでの作画で感じていたような身体的な疲れも軽減することができました」

関連記事

トピックス

ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン