仕事ぶりは普通の記者と明らかに違っていた。総務省を担当したベテラン新聞記者が語る。
「総務省の記者クラブに各社最低1人はいました。波取り記者の所属は編集局ではなく、本社の電波を担当している部門などから来る。
普通の記者と違うのは、役所の審議会や研究会に参加できること。役所では地デジ移行など新たな政策に取り組む際に大臣や局長による私的諮問機関を立ち上げる。波取り記者は、そうした研究会に非公式メンバーとして参加するが、報道が目的ではないから記事を書くことはほぼないし、我々にも情報を漏らさない。電波がらみのいろんな工作をするためでしょう」
高橋氏は新聞・テレビの報道にこう疑問を呈す。
「新聞やテレビは総務省の接待問題は報じても、波取り記者の存在は隠している。恥ずかしくないのでしょうか。総務省も接待の調査をやり直すなら放送局を含めて電波の割り当てを受けている全ての事業者を対象にすべきでしょう」
※週刊ポスト2021年4月2日号