国内

五輪中の巨大地震シミュレーション「避難所難民」が生まれる懸念も

東京都内は平時ですら避難所が不足していると言われるが…(時事通信フォト)

東京都内は平時ですら避難所が不足していると言われるが…(時事通信フォト)

 聖火リレーが始まり、東京五輪の開催が現実味を帯びてきた。気になるのが今年に入ってから大きな地震が頻発していることだ。もし東京五輪開催中に巨大地震が発生したら、来日している海外の選手や関係者にどんな影響が及ぶか。

飛行機が飛べずに海外選手が足止め

 災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏が、“最悪の状況”をシミュレーションする。

「まず外国人は選手村に留まって救出を待つことになるでしょう。震災の規模にもよりますが、空港に甚大な被害が及べば飛行機が飛べなくなる可能性もあります。

 来日するとされる数万人の外国人選手や大会関係者は日本政府にとって“要人”ですから、羽田の使用が難しければヘリコプターなどで優先的に成田空港や横田基地に移送するはずです。それでもこれだけの人数を運ぶのは容易ではないでしょう」

 東日本大震災では、成田空港や羽田空港の滑走路が一時閉鎖され、旅客機など86機が目的地変更を余儀なくされた。もし同様の事態になれば、海外の選手やスタッフが国内で足止めされることになる。

競技会場で“群衆なだれ”が

 東京都の五輪招致活動の推進担当課長を務め、五輪会場でもある東京体育館の建設に関わった経験を持つ国士館大学客員教授の鈴木知幸氏によれば、各競技が開催される競技会場自体は耐震性に優れており、地震で倒壊する可能性は低いという。

 そのため、地震発生時、観客は会場内に留まったほうが安全とされる。しかし、経験したことのない激しい揺れに多くの人が「パニック状態」に陥ってしまう可能性がある。

「地震発生時は会場内で『その場にとどまり、出口に殺到しないでください』とアナウンスが流れるはずです。それでも人は恐怖と不安を感じると“危険を回避したい”と外に出てしまう。

 会場の出口付近に殺到し、階段などで『群衆なだれ』と呼ばれる将棋倒しが発生する可能性があります。2001年の明石花火大会歩道橋事故では死者11人、負傷者も247人に上りました」(前出・和田氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
「秋らしいブラウンコーデも素敵」皇后雅子さま、ワントーンコーデに取り入れたのは30年以上ご愛用の「フェラガモのバッグ」
NEWSポストセブン
八田容疑者の祖母がNEWSポストセブンの取材に応じた(『大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会』公式Xより)
《別府・ひき逃げ殺人》大分県警が八田與一容疑者を「海底ゴミ引き揚げ」 で“徹底捜査”か、漁港関係者が話す”手がかり発見の可能性”「過去に骨が見つかったのは1回」
訃報が報じられた日テレの菅谷大介アナウンサー
「同僚の体調を気にしてシフトを組んでいた…」日テレ・菅谷大介アナが急死、直近で会話した局関係者が語る仲間への優しい”気遣い”
NEWSポストセブン
愛子さま(撮影/JMPA)
愛子さま、母校の学園祭に“秋の休日スタイル”で参加 出店でカリカリチーズ棒を購入、ラップバトルもご観覧 リラックスされたご様子でリフレッシュタイムを満喫 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン
クマによる被害が相次いでいる(getty images/「クマダス」より)
「胃の内容物の多くは人肉だった」「(遺体に)餌として喰われた痕跡が確認」十和利山熊襲撃事件、人間の味を覚えた“複数”のツキノワグマが起こした惨劇《本州最悪の被害》
NEWSポストセブン
近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン