スポーツ

プロ野球「開幕ダッシュ」の歴史 優勝確率36.1%の険しい現実

プロ野球「開幕ダッシュ」の天国と地獄を振り返る(写真は2008年の阪神)

プロ野球「開幕ダッシュ」の天国と地獄を振り返る(写真は2008年の関本賢太郎(左)、岩田稔(右))

 祝・プロ野球開幕! ロケットスタートを切っても、必ずしも優勝できるとは限らないのがペナントレース。平成以降の過去32年の3、4月の成績(※2020年は開幕が遅れたため、6、7月の成績)を調べると、勝率6割5分以上の開幕ダッシュに成功したチームは36例あった。だが、意外にも優勝は13例のみで、確率は3割6分1厘しかない。

 稀に見る失速もあった。2006年、原辰徳監督が2度目の就任をした巨人は4月終了時に貯金12と見事な滑り出しを見せたが、最終的には球団史上初の2年連続Bクラスに終わった。貴重な左の中継ぎを務めていた前田幸長氏が話す。

「交流戦になると、一度仕切り直しになるため、良い流れが寸断されました。ケガ人も続出し、特にチームリーダーの小久保裕紀の離脱が痛かったです」

 交流戦のなかった年は19例中8チームが優勝していたが、交流戦が始まった2005年から2019年までは16例中5チームと開幕ダッシュの効力は薄れつつある。2008年、交流戦を2位で乗り切りながら、巨人に13ゲーム差を逆転され、阪神の監督を辞任した岡田彰布氏が勝ち切ることの難しさを語る。

「独走すると『絶対優勝や』という雰囲気になるから、勝てなくなると辛いわな。終盤は食事が喉を通らず、あっさりしたものを無理矢理口に放り込んでいたわ。同じ2位でも、前半に独走しないでの2位なら監督を続けたんやないかな」

 同年は新井貴浩がケガのまま北京五輪に出場し、状態が悪化。帰国後1か月近く欠場する不運も重なった。今年は東京五輪で約1か月の中断期間がある。

「前半戦でどれだけ貯金を作れるか。そうしないと、中断期間の練習を楽しくできない。追い掛けるのはしんどい。そら、開幕ダッシュするに越したことはないよ」(前出・岡田氏)

 開幕戦、交流戦、中断明けと“3度の開幕”がある2021年。異例のシーズンを勝ち抜くチームはどこか。

●2008年 阪神
「大差で独走した我が世の春」
 7月8日の巨人戦で5対3と快勝し、宿敵・巨人に最大となる13ゲーム差を付ける。猛打賞の関本賢太郎、6勝目の岩田稔がお立ち台に

「巨人に13ゲーム差を逆転され、岡田監督は辞任」(最終順位2位)
 10月8日、巨人との同率首位決戦に惜敗。首位を明け渡して首をかしげる岡田彰布監督。

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン