ライフ

帯状疱疹が各世代で増加中 基礎疾患のある人と高齢者に重症化リスク

帯状疱疹のリスクと対処法は?(イラスト/いかわ やすとし)

帯状疱疹のリスクと対処法は?(イラスト/いかわ やすとし)

 乳児への水疱瘡ワクチンが定期接種となったことで、広い世代に帯状疱疹が増加中だ。帯状疱疹は神経節に潜伏している水痘・帯状疱疹ウイルスが免疫の低下により、活発化して発症する。激しい痛みと身体の左右どちらかに赤い斑点や水ぶくれが帯状に現われる。抗ウイルス薬で治療を行なうが基礎疾患のある人や高齢者は重症化リスクが高く、帯状疱疹後神経痛を患うこともある。

 帯状疱疹は80歳までに7人に1人が発症するといわれ、身体の左右どちらかの皮膚にピリピリした痛みを感じ、その後数日して赤い斑点や水ぶくれが帯状になって現われる。水ぶくれは、やがてかさぶたになり、痛みも消える。ただし、水ぶくれが破れると他人に感染させることもある。

 原因は子供の頃に罹る水疱瘡だ。水痘・帯状疱疹ウイルスは神経節に潜伏し続けるが加齢や過労、糖尿病やがんなどの慢性疾患により、免疫が低下するとウイルスは活動を活発化させて発症する。

 ちなみに水疱瘡と帯状疱疹の流行は逆相関にある。2014年に水疱瘡ワクチンが乳児に定期接種されるようになると水疱瘡に罹る子供は激減したが、同時に各世代に帯状疱疹が増え出したのだ。

 NTT東日本関東病院皮膚科の五十嵐敦之部長に聞く。

「水痘・帯状疱疹ウイルスは脊髄神経に潜んでいますが、宿主であるヒトの免疫が低下すると再び活動を始めます。そして、宿主がダメになるとウイルスも死に絶えるので、他人に感染し、新しい宿主を獲得しようと動き出します。水疱瘡に一度罹った大人は水疱瘡の子供と接触することにより、免疫力は上がりますが、ワクチン接種で子供の水疱瘡が激減したため、免疫力の再活性化が起こらず、帯状疱疹が増えているのです」

 帯状疱疹は重症化すると帯状疱疹後神経痛の原因となる。糖尿病などの基礎疾患のある人や高齢者は重症化リスクが高い。他にも顔面に赤い斑点が生じた場合は視力や聴力、味覚などの感覚に影響が出たり、表情筋にマヒが起こるなどの症状が出る。

 帯状疱疹の全身治療薬は現在、5種類の抗ウイルス剤が承認され点滴か内服で用いる。痛みが出ただけでは帯状疱疹の確定診断は難しいが、それでも赤い斑点が出てから48時間以内に服用すれば高い治療効果を得られる。強い痛みがある場合は神経ブロックを併用する。発症したら安静を保ち、水ぶくれは柔らかいガーゼなどを当て、他人にうつさぬように予防する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ブラジルにある大学の法学部に通うアナ・パウラ・ヴェローゾ・フェルナンデス(Xより)
《ブラジルが震撼した女子大生シリアルキラー》サンドイッチ、コーヒー、ケーキ、煮込み料理、ミルクシェーク…5か月で4人を毒殺した狡猾な手口、殺人依頼の隠語は“卒業論文”
NEWSポストセブン
9月6日に成年式を迎え、成年皇族としての公務を本格的に開始した秋篠宮家の長男・悠仁さま(時事通信フォト)
スマッシュ「球速200キロ超え」も!? 悠仁さまと同じバドミントンサークルの学生が「球が速くなっていて驚いた」と証言
週刊ポスト
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン