スポーツ

五輪代表入りの池江璃花子、偉業達成の背景にあった「GRIT」とは?

インタビューで涙ぐむ池江璃花子(写真/時事通信社)

インタビューで涙ぐむ池江璃花子選手(写真/時事通信社)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、白血病を克服し、東京オリンピックへの出場権を手にした競泳の池江璃花子選手について。

 * * *
「努力は必ず報われる」とはよく聞く言葉だが、こんなにも鮮やかにその場面を目にすることがあるのだと、彼女のゴールを見て思った。見た人に勇気と感動を与える結果の裏には、努力を積み重ねてきた本人にとって尋常ではない苦しさや葛藤があっただろう。4月4日、東京オリンピックへの出場を決めた池江璃花子選手は、レース直後のインタビューで、口元を手で覆いこぼれる涙を拭いながら「すごく辛くてしんどくても努力は必ず報われると思います」と声を震わせた。

 東京オリンピックの代表選考を兼ねた競泳の日本選手権で、池江選手は4日、女子100メートルバタフライ決勝で3年ぶりに優勝、8日の女子100メートル自由形決勝でも1位を獲得し、東京オリンピックメドレーリレーの代表内定に続き、400メートルリレーの代表入りも決めた。2019年2月に白血病と診断されてから約2年。2018年のアジア大会では、日本人初の6冠を達成し大会最優秀選手にも選ばれ、この年には女子100メートルバタフライで日本記録の56秒08をマーク。絶好調だった彼女にとって、病気の宣告は突然谷底に突き落とされたような気持ちだっただろう。

 闘病の様子は度々テレビでも報じられ、退院してからもその動向は話題になっていた。昨年8月にはレースに復帰。こんなに早く復帰できるのかと思いながらも、やはり活躍する姿を期待した。以前とは違う泳ぎを見て、「完全復帰するにはまだまだ時間がかかるだろう」、「それより本当に復帰できるのだろうか?」と思ったものだ。

 その後いくつかの大会に出場し、着実に以前の泳ぎを取り戻しつつあったことは知っていたが、1年も経たないうちにここまでの結果を出すとは驚きしかない。池江選手は、得意の女子100メートルバタフライでは57秒77、女子100メートル自由形では53秒98をマークしどちらも優勝。派遣標準記録を突破し、東京オリンピックへの切符を掴んだのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

不倫疑惑に巻き込まれた星野源(『GQ』HPより)とNHK林田アナ
《星野源と新垣結衣が生声否定》「ネカフェ生活」林田理沙アナが巻き込まれた“不倫疑惑”にNHKが沈黙を続ける理由 炎上翌日に行われた“聞き取り調査”
NEWSポストセブン
殺人を犯すようには見えなかったという十枝内容疑者(Facebookより)
【青森密閉殺人】「俺の人生は終わった」残忍な犯行後にキャバクラに来店した主犯格の社長、女性キャストが感じた恐怖「怒ったり、喜んだり感情の起伏が…」近所で除雪手伝いの裏の顔
NEWSポストセブン
辛口評論家たちは今季の巨人をどう見ているか(阿部慎之助・監督)
江本孟紀氏が語る今季の巨人「阿部監督には派手さがない。それがいい」「もし優勝でもすれば、MVPは1年早く辞めた原前監督だと思いますね」
週刊ポスト
亡くなったことがわかったシャニさん(本人のSNSより)
《ボーイフレンドも毒牙に…》ハマスに半裸で連行された22歳女性の死亡が確認「男女見境ない」暴力の地獄絵図
NEWSポストセブン
早くも今シーズン3勝目を挙げた竹田麗央(時事通信フォト)
女子ゴルフ界の新女王・竹田麗央 好調のウラに“小技”を磨いた小祝さくらとの「タイ合宿」 米ツアー参戦への課題は
週刊ポスト
長男・正吾の応援に来た清原和博氏
清原和博氏、慶大野球部の長男をネット裏で応援でも“ファン対応なし” 息子にとって雑音にならないように…の親心か
週刊ポスト
殺害された谷名さんの息子Aさん
【青森密閉殺人】手足縛りプラスチック容器に閉じ込め生きたまま放置…被害者息子が声を絞り出す監禁の瞬間「シングルで育ててくれた大切な父でした」
NEWSポストセブン
竹内涼真と
「めちゃくちゃつまんない」「10万円払わせた」エスカレートする私生活暴露に竹内涼真が戦々恐々か 妹・たけうちほのかがバラエティーで活躍中
女性セブン
大谷が購入した豪邸(ロサンゼルス・タイムス電子版より)
大谷翔平がロスに12億円豪邸を購入、25億円別荘に続く大きな買い物も「意外と堅実」「家族思い」と好感度アップ 水原騒動後の“変化”も影響
NEWSポストセブン
被害者の渡邉華蓮さん
【関西外大女子大生刺殺】お嬢様学校に通った被害者「目が大きくてめんこい子」「成績は常にクラス1位か2位」突然の訃報に悲しみ広がる地元
NEWSポストセブン
杉咲花
【全文公開】杉咲花、『アンメット』で共演中の若葉竜也と熱愛 自宅から“時差出勤”、現場以外で会っていることは「公然の秘密」
女性セブン
史上最速Vを決めた大の里(時事通信フォト)
史上最速V・大の里に問われる真価 日体大OBに囲まれた二所ノ関部屋で実力を伸ばすも、大先輩・中村親方が独立後“重し”が消えた時にどうなるか
NEWSポストセブン