ライフ

オカヤイヅミさんインタビュー「私がマンガを作る時に考えていること」

オカヤイヅミさん

デビュー10周年を迎えたオカヤイヅミさん

 デビュー10周年を迎えた本年、それを記念してコミックス『白木蓮はきれいに散らない』と『いいとしを』が同時発売になったオカヤイヅミさん。前者では「しんどい現実」を生きる女性3人の人生行路を、後者では父と2人暮らしを始めた息子の日常とコロナ禍の東京を描き、数々のメディアで取り上げられ、反響を呼んでいる。そこで、オカヤさんにロングインタビュー。2作品の立ち上げの経緯や「孤独」や「死」について思うことなど、現在の胸中を語った。

孤独死は、人が言うほど悪いものじゃない

――10周年おめでとうございます。

オカヤ:ありがとうございます。何かを乗り越えてきたとかはなく、ぬるっときちゃった感じですけど(笑)

――同時発売になった2作、面白かったです。装画もみずみずしくて。

オカヤ:よかったです。第一印象は大事ですもんね。

――今日は企画立ち上げの経緯やキャリアについてもお伺いできればと思っています。「女性セブン」の連載をまとめた『白木蓮はきれいに散らない』は印象に残るタイトルですよね。

オカヤ:子供の頃、実家の庭に白木蓮が生えていたんですけど、白木蓮の花びらって舌べろぐらい肉厚で、庭に落ちるとだいたい汚くなるじゃないですか。ボコボコした細長い実が庭中に落ちてきて、子供の頃は「毛虫」って呼んでました。で、食べられもしないし、登れるほど幹も太くないし、ポピュラーじゃないから人にも伝わりづらい木だなと。そんなことを思い出しながら描きました。

――オカヤさんは『おあとがよろしいようで』(文藝春秋)で、一貫して「死ぬのが怖い」と描かれていました。今回、「孤独死」を題材にされたのは、心境の変化があったからでしょうか?

オカヤ:自分が中年になって、「死」が身近になってきたこともありますし、友だちとも「孤独死って、人が言うほど悪くないんじゃないか」と話したことがあって。死んでから発見までに時間がかかると物理的に色々大変ってことさえなければ、みんな死ぬ時はひとりですよね。だったら、自分がひとりで死ぬときはどんな感じかなというところから考え始めました。

――物語は、高校時代の同級生3人が久しぶりに集まるところから始まります。この3人、考え方も社会的立場も違いますよね。

オカヤ:あえてバラバラにしたいなと思って、身近に居る人なんかも思い浮かべながら、想像しうる3パターンを考えました。こういうのを考えるのは楽しいです。

『白木蓮はきれいに散らない』 何かとしんどいことの多い50代。高校時代の同級生だったキャリアウーマンのサトエ、専業主婦のマリ、離婚調停中のサヨが久しぶりに顔を合わせたのは、同じく同級生だったヒロミの孤独死がきっかけだった。ヒロミの遺言書には、3人にアパートを譲りたい旨と「あるお願い」が記されており……

(あらすじ) 何かとしんどいことの多い50代。高校時代の同級生だったキャリアウーマンのサトエ、専業主婦のマリ、離婚調停中のサヨが久しぶりに顔を合わせたのは、同じく同級生だったヒロミの孤独死がきっかけだった。ヒロミの遺言書には、3人にアパートを譲りたい旨と「あるお願い」が記されており……

――描くのが難しいキャラクターなどは?

オカヤ:基本的には全員、自分の要素が入っているので難しいということはなかったです。というのもマンガを描く時、ここがこうなるから、ここではこういう人物を出してみたいな緻密な作り方はしていなくて。こういう状況になった時、この人ならどう思うかだけを描きたくて、場当たり的な作り方をしています。読む分には、大どんでん返しのミステリーとかも嫌いではないんですけど、自分が作る時は、神の視点になりすぎないようにしています。

――サトエ、マリ、サヨの3人の関係もリアルです。50代女性が同級生の死をきっかけに顔を合わせるようになる訳ですが、それぞれ今の暮らしがあって、「また会わなくなるんだろうな」と思っている感じとか。

オカヤ:友達って、それでいいと思うんです。ちょっと古い言い回しですが「ズッ友だよ」みたいなことをいうから苦しいんじゃないかなって。例えば、映画を観に行こうとなった時、あの人も好きそうだなと思ったら誘うとか、そんな関係の方がお互い自由でいられる気がします。

関連記事

トピックス

米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《5か月ぶりの表舞台直前で》米倉涼子、ギリギリまで調整も…主演映画の試写会前日に“書類送検”報道 出席が見送られていた
NEWSポストセブン
天皇皇后、愛子さま
《溜席の着物美人が2日連続で初場所に登場》6年ぶりの天覧相撲に感じた厳粛さを語る 力士のみならず観客も集中し、「弓取り式が終わるまで帰る人がいなかった」
NEWSポストセブン
アメリカのトランプ大統領と、グリーンランド連帯の最前線に立つ41歳女性・市民団体代表(左/EPA=時事、右/Instagramより)
〈国家が消されるかも…〉グリーンランド連帯の最前線に立つ41歳女性・市民団体代表からのメッセージ “トランプによる併合”への恐怖「これは外交交渉ではない」
NEWSポストセブン
肺がんのため亡くなったフリーアナウンサーの久米宏さん(時事通信フォト)
《キー局に就職した有名アナも》久米宏さんに憧れて男性アナウンサーを目指した人たち 爆笑問題・田中はTBSラジオでのバイト時代に「久米宏さんになりたかった」
NEWSポストセブン
米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《ゲッソリ痩せた姿で取調室に通う日々》米倉涼子が麻薬取締法違反で書類送検、昨年末に“捜査終了”の匂わせ 元日にはファンに「ありがとう」と発信
NEWSポストセブン
 相撲観戦のため、国技館へ訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2026年1月18日、撮影/JMPA)
「美しすぎて語彙力消失した」6年ぶりの天覧相撲 雅子さまは薄紫の着物、愛子さまは桜色の振袖姿でご観戦
NEWSポストセブン
次期衆院選への不出馬を表明する自民党の菅義偉元首相(時事通信フォト)
《一体今は何キロなのか…》菅義偉元首相が引退を表明「健康状態は全く問題ない」断言から1年足らずでの決断 かつて周囲を驚かせた“10キロ以上の激ヤセ”
NEWSポストセブン
“メンタルの強さ”も際立つ都玲華(Getty Images)
《30歳差コーチと禁断愛報道》女子プロゴルフ・都玲華、“スキャンダルの先輩”トリプルボギー不倫の先輩3人とセミナー同席 際立った“メンタルの強さ”
週刊ポスト
相撲観戦のため、国技館へ訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2026年1月18日、撮影/JMPA)
《周囲の席には宮内庁関係者がビッチリ》愛子さま、特別な一着で「天覧相撲」にサプライズ登場…ピンクの振袖姿は“ひときわ華やか”な装い
NEWSポストセブン
女優のジェニファー・ローレンス(dpa/時事通信フォト)
<自撮りヌード流出の被害も……>アメリカ人女優が『ゴールデン・グローブ賞』で「ほぼ裸!」ドレス姿に周囲が騒然
NEWSポストセブン
次期衆院選への不出馬を表明する自民党の菅義偉元首相(時事通信フォト)
「菅さんに話しても、もうほとんど反応ない」菅義偉元首相が政界引退…霞が関を支配した“恐怖の官房長官”の容態とは《叩き上げ政治家の剛腕秘話》
NEWSポストセブン
ボニー・ブルーがマンU主将から「発散させてくれ」に逆オファーか(左/EPA=時事、右/DPPI via AFP)
「12時間で1057人と行為」英・金髪インフルエンサーに「発散させてくれ…」ハッキング被害にあったマンU・主将アカウントが名指し投稿して現地SNSが騒然
NEWSポストセブン