国内

都とIOCの契約に違約金規定なし 五輪中止損害賠償は保険でカバー可能

東京都とIOCはどう決着をつけるのか(写真はIOCバッハ会長/時事通信フォト)

東京都とIOCはどう決着をつけるのか(写真はIOCバッハ会長/時事通信フォト)

 東京五輪を開催すれば、東京を中心に新型コロナウイルス感染者が増えるリスクは拭い去れない。五輪開催に向かって、ひた走るIOC(国際オリンピック委員会)と政府、組織委員会によって、危険にさらされているのは東京都民の命と生活なのである。

 専門家からは、「五輪中止すべき」の声が圧倒的だ。

 尾崎治夫・東京都医師会長は「これ以上感染が広がることがあれば、いろんな国から選手が来て開催される五輪はたとえ無観客であってもなかなか難しい」と会見(4月13日)で中止を訴え、政府のコロナ対策分科会の尾身茂・会長は国会で政府から五輪開催の是非について意見を求められた際、「感染の状況、医療の逼迫状況を考えた上で、国民に知らせるのが組織委員会、関係者の責任でないかと申し上げた」(4月28日の衆院厚生労働委員会)と語っている。

 NPO法人医療制度研究会副理事長の本田宏医師が語る。

「感染力の強い変異株の拡大を防ぎ、医療崩壊をさせないためには一刻も早く五輪中止を決めるべきです。そうすれば医師や看護師を五輪のために動員する必要もなくなるし、五輪指定病院のベッドも感染者のために使うことができる」

 政治評論家の有馬晴海氏は、決断ができるのは小池氏しかいないと見る。

「菅首相は五輪開催に政治生命を懸けており、丸川五輪相や橋本会長はそれに従うしかない。そんな状況で中止を決断する動機と権限を持つのは都民の健康、生命に責任を負っている小池氏だけです。小池氏は五輪を開催して感染拡大すれば全責任を押し付けられる。それを防ぐには中止宣言でぶち壊すしかない」

 都庁幹部も、「小池さんが一番危惧しているのは東京での医療崩壊。五輪が開催できるに越したことはないが、感染状況が改善せず、それでも政府が観客を入れて開催する方針なら、ちゃぶ台をひっくり返す。都の感染対策部門やブレーンの感染症専門家たちも5月の感染状況を見て知事に中止の決断を迫るつもりです」という。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト